論争深まらない「消費税」 財政再建に暗雲

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「与党の争点ぼかしが奏功」「野党が争点化に失敗」

   ただ、消費税増税見送り、使途変更の代替財源についての主張には不透明感が漂う。安倍首相は、増税分から財政再建に回す分を減額する結果、国際公約にもなっていた基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)の2020年度黒字化を先送りすると言明したが、黒字化の時期は「現段階で材料がそろっていないため示せない」と述べるにとどまっている。

   一方の野党は、希望が公共事業などの歳出削減や国有資産売却の徹底、さらに大企業の内部留保への課税検討を盛り込んだ。しかし、内部留保課税については、法人税などを納めた後の「二重課税」との批判が強く、小池代表も「(課税には)こだわらない」とトーンダウン。維新は「身を切る改革」を掲げ、国会議員の歳費や定数削減など行財政改革の徹底を訴える。共産は大企業向けの優遇税制縮減や富裕層の資産に課税する「富裕税」創設を主張、立憲民主は金融課税の見直しなど、社民党も「不公平税制是正」を掲げる。

   国民の多くは経済成長の実感がなく、格差拡大を懸念し、増税への抵抗感は強い。他方、国内総生産(GDP)の2倍もの巨額の国の借金が積み上がり、社会保障の持続性に疑問符が付く。そこで消費税をどうするかは大問題だが、実際には選挙戦での論戦は、もう一つ盛り上がりを欠く。安倍首相は街頭演説で、株価上昇をアピールしても、消費税の使途変更に言及しないことも多い。「与党の争点ぼかしが奏功したとも、野党が争点化に失敗したともいえる」(全国紙政治部デスク)が、国民の将来への不安を払拭するための政策論争にほど遠いのは間違いなさそうだ。

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