衆院選に向けた論戦で、消費税率を2019年10月に10%へと引き上げることを巡り、実施を主張する「自民党・公明党」、凍結など実施に否定的な「希望の党・日本維新の会」「立憲民主党・共産党・社民党」と、3極が与党対野党に分かれる構図になった。予定通り実施を謳う与党も、増税分の使途については財政再建に回す分を削るとし、凍結側も代わる財源は曖昧で、財政再建の行方には暗雲が漂っている。
自民は選挙公約で、消費税10%時の増収分について「子育て世代への投資を集中することで『全世代型社会保障』へと大きくかじを切る」とした。公明も、増収分を教育無償化などに振り向けると公約する。
安倍総裁「社会保障費には安定財源が必要だ」
一方の野党は、安倍晋三首相と同様に増税分の使途変更を主張していた前原誠司代表率いる民進党が空中分解し、多くが希望に合流。その希望は公約に「景気回復を確実にするため、2年後の消費増税を凍結する」と書き込んだ。希望と連携する維新も引き上げ「凍結」を公約に掲げた。
民進から分かれた立憲民主も、アベノミクスの成果は上がらず、中間層を激減させたままで「直ちに消費税率10%へ引き上げることはできない」と公約。共産は「消費税10%増税の中止」を訴え、社民も引き上げに反対している。
与野党党首による日本記者クラブ主催の討論会(8日午後)やテレビでの討論などでも大きな論点になり、自民の安倍総裁は「社会保障費には安定財源が必要だ」と、税率引き上げに理解を求め、増収分の使途として「私立高校の無償化も検討したい」などとしている。
希望の小池百合子代表(東京都知事)は「景気の実感が伴っていない」と凍結を主張。立憲民主の枝野幸男代表は経済状況など「前提が崩れている以上、(増税を)容認できない」、他の野党も増税の凍結や中止をそれぞれ訴え、与野党の対立の構図になっている。