ネットの世界でたびたび議論を呼ぶのが、画像などの「無断使用」「盗用」問題だ。
クリエイターにとって、自分の写真やイラストを勝手に使われるのは、多くの場合気持ちのいい話ではない。しかし画像を取り下げさせる、あるいは「使用料」を取ろうとすれば、相当の手間がかかり、「泣き寝入り」になることも多い。
こうした中で話題になっているのが、ドイツ発のサービス「コピートラック(COPYTRACK)」だ。
画像1枚で「6万円」の使用料が
試しにアカウントを作成し、J-CASTニュース編集部で過去に撮影した写真を何枚か登録してみた。ちなみに、サービスは英語、ドイツ語、中国語に加え、日本語にも対応している。
アップロードして間もなく、「ヒット」欄に、その写真を使っているウェブサイトが表示されるようになった。多くはJ-CASTニュースやその配信先だが、掲載の許可を出していないキュレーションサイトなどもいくつか引っかかる。こうやって、画像を「盗用」しているサイトがわかるという仕組みである。
ここまではGoogleなどの画像検索でもできるが、ユニークなのはそこに「見込み金額」が表示されることだ。ある写真については、465ユーロ(約6万円強)の額面が提示されている。これを承認すると、画像の著作権者に代わってコピートラックが、相手のサイトに「事後ライセンス」――つまり、使用料を払うよう要求してくれるのである。もし相手が拒絶すれば、法的な対応も代行する。
そして、基本料金は無料だ。ただし成功報酬として使用料のうち、たとえば日本を含むアジアなら30%(法的手段を取った場合は50%)を支払うこととなる。
同人作家たちから歓迎の声が上がったものの...
コピートラックは2015年にドイツで立ち上げられ、日本にも16年からオフィスを置くなど、国際的な展開を続けている。写真家やメディアなどが主なターゲットだ。日本でも写真家などを中心に注目が集まりつつあり、写真雑誌「アサヒカメラ」(2017年5月号)や、日本写真著作権協会の会報(17年8月号)などで取り上げられている。
9月ごろからは、いわゆる「オタク」界隈でも関心が高まってきた。同人誌やイラスト集などの違法アップロードが問題化しているためだ。10月20日には、あるユーザーがこうした観点からコピートラックを紹介するツイートを行い、これをきっかけに、多くつぶやかれたキーワードを集計する「トレンド」欄にその名が掲載、一気に多くの人に知られることに。
違法サイトは無数に存在し、漫画やイラスト集だと画像の利用枚数も多いため、場合によっては何十万、何百万という請求も考え得る。ネット上にはざわめきが走った。
ただし、コピートラックでは公式ツイッターで9月29日、
「同人誌やファンアートの場合のCOPYTRACKサービス利用は、オリジナルキャラクターの著作権、またはオリジナルキャラクターの著作権者の同意がない限り、ご利用いただくことができません」
とコメントしているほか、利用規約には成人向けコンテンツが、使用権の認められないものの一例として挙げられている。既存作品を元にした2次創作、またアダルト作品では利用が難しいようだ。
なお、すでに「請求」を受けたという報告もネット上で確認できる。たとえば「Yahoo!知恵袋」には9月13日、
「COPYTRACKというサービスから、画像の著作権違反で請求がありました。これは支払わなければいけないのでしょうか?画像削除などで対応しても無駄ですか?」
という相談が。このユーザーは「4万円」を求められたとのことだが、その後どうなったかは定かでない。