穏やかな犬は「女性型」、猛々しい犬は「男性型」
その結果、(1)(2)ともに、見知らぬ犬や人間に攻撃的行動をとった犬はオキシトシンの量が少なく、バソプレッシンが多かった。特に「札付き」の犬は、普通のペット犬よりバソプレッシンの濃度が高い傾向を示した。逆に、人間に奉仕する訓練を受けている盲導犬や介助犬は、普通のペット犬よりオキシトシンの濃度が高い傾向を示した。つまり、人に吠えかかったり、かみついたりする犬を矯正するには、バソプレッシンの量を減らし、オキシトシンの量を増やせばよいことになる。
マクリーン教授は論文の結論でこう語っている。
「品種改良と訓練で穏やかな性格を身に着けた盲導犬や介助犬は、平均的な犬よりオキシトシンの濃度がかなり高いことがわかりました。一方、攻撃的な犬はバソプレッシンの量が多かったのですが、これは普通のペット犬でも、自分のエサが取られそうになる時や見知らぬ犬を見た時には同じ状態になります。今後、オキシトシンとバソプレッシンの量を調節する治療方法を研究すれば、安楽死させられる多くの犬とその飼い主を救うことにつながるでしょう」