国際サッカー連盟(FIFA)主催のU-17(17歳以下)ワールドカップ(W杯)で、日本が優勝候補のイングランドと互角に渡り合った。
FW久保建英を擁する日本の攻撃陣は尻上がりに調子を上げ、好機を何度も演出。英国メディアも「久保はイングランドゴールを脅かし続けた」など、戦いぶりを称えている。
「最後の10分間は実に活気づいていた」
インドで開催中のU-17W杯で2017年10月17日、日本とイングランドの決勝トーナメント1回戦が行われた。イングランド代表は、プレミアリーグのマンチェスター・シティでプレーするMFフィル・フォーデン、マンチェスター・ユナイテッドのMFアンヘル・ゴメス、リバプールのFWリアン・ブリュースターら、スターの「原石」を多数そろえ、今大会の優勝候補と目される。
そんな相手にも日本は果敢に攻めた。前半4分にMF上月壮一郎がシュート、同37分にもFW中村敬斗のシュートのこぼれ球に上月が反応。だがいずれもゴールは奪えなかった。後半は24分、久保がパスを受けてドリブル突破からシュート。同31分にはFW宮代大聖がミドルシュートを打ったが、いずれもGKに阻まれた。
最大の決定機は同42分、久保のキープからパスを受けたMF椿直起がグラウンダーでクロス。中央にいた宮代がゴール前で合わせたが、相手に当たって惜しくも外れた。
守備陣もイングランドの猛攻に遭ったが、GK谷晃生がファインセーブを連発するなど死守し、無失点で切り抜けた。90分間で0-0だったが、その後のPK戦で日本は敗れ、8強進出はならなかった。
善戦した日本はFIFA公式サイトのマッチレポートで「久保建英が攻撃を牽引し、後半15分あたりから際立って日本は噛み合いはじめた。最後の10分間は実に活気づいていた」と評価された。
相手の英国メディアも日本の戦いぶりを取り上げた。英スポーツ専門局「スカイ・スポーツ」は17日、「試合が進むにつれ、日本はどんどん強くなっていった。宮代はGK前まで2度迫り、久保はイングランドゴールを脅かし続けた」と称賛。「イングランドは疲労していた。延長戦なしでPK戦に入るという試合形式に感謝しただろう」と、接戦の模様を伝えた。
「選手たちは全員大泣きしていました」
英紙「デイリー・メール」は17日、「日本の厳しいディフェンスはヤング・ライオンズ(編注:U-17イングランド代表の愛称)の勢いを削いでいった」と守備面で評価した。尻上がりに調子をあげた日本に対して、「高温多湿のインド・コルカタで、イングランドの攻撃は徐々に覇気を失った」と比較。後半30分に設けられた給水タイムについて「イングランドが体勢を立て直すのに絶好の時間となったようだ」としている。
数字をみると、ボール支配率は日本42%に対しイングランド58%と劣った。だが、シュート数は日本13(枠内5)本に対し、イングランド14(同4)本とほぼ同等。また日本は前半のシュートが5(同1)本だったが、後半は8(同4)本打っており、後半の猛攻が伺える。イングランドは前半8(同2)本、後半6(同2)本だった。
森山佳郎監督は試合後、「本当に素晴らしいハートを見せてくれました。格上の相手に対して、我慢しながらみんなで声を掛け合って戦い、組織的なサッカーを見せることができたのではないかと思います」と日本サッカー協会(JFA)の公式サイトでコメントを発表。「選手たちは全員大泣きしていました」といい、「その涙をこれからの大きな成長のエネルギーにしてほしいです」と期待を寄せていた。