「日本はどこ?」(米ニューズウィーク)――海外メディアにはからかわれ、当の日本政府からは抗議を受けた平昌五輪サイト「地図問題」が起きたのは、2017年9月末のことだ。
それから半月あまり、日本のネット上では、まだ「直し忘れ」があるとの指摘が持ちあがった。10月17日までに、ようやく修正は完了したが、そもそも問題の地図が「フリー素材」では?との声まで。開幕まで残り110日あまり、ドタバタはまだ続いている。
「ヒゲの隊長」もツイッターでお怒り
「また日本が抜け落ちている、平昌五輪の広報世界地図。先日、日本政府の申し入れで修正されたのに!」
「ヒゲの隊長」として知られる自民・佐藤正久参院議員は13日、ツイッターで憤りをあらわにした。
問題となっているのは、韓国で2018年開催される平昌五輪の公式サイトだ。9月末、関連イベントのひとつ「ドリーム・プログラム」の紹介ページに掲載されている世界地図から、日本がすっぽり抜け落ちていることが明らかに。27日にはスポーツ庁を通じて日本政府が対応を申し入れ、菅義偉官房長官も会見で言及するなど、ちょっとした国際問題となってしまったことは記憶に新しい。韓国側は当日のうちに修正を行い、一件落着と思われていたのだが――。
しかし騒動勃発から約2週間が経った10月半ばに入り、なおもいくつかの箇所で、問題の「日本抜き」地図が使われていることが話題を呼び始めた。
サイトには韓国語・英語・フランス語・中国語と4か国語ごとに、パソコン用とモバイル用、計8種類のページが設けられている。J-CASTニュース編集部が9月27日にこの問題を報じた際、少なくとも英語のパソコン版については地図が差し替えられたことを確認した。ところが佐藤議員がツイートした10月13日時点では、複数のページで、問題となった地図がそのまま掲載されていたという。
佐藤議員は「外交ルートを通じて再度、平昌大会組織委員会に、この問題を指摘の上,改善措置を強く申し入れた」といい、17日現在、パソコン版ではいずれの言語でも地図が修正、モバイル版では、地図そのものが取り除かれた状態だ。また理由は不明だが、ほぼ同時期に、問題のページのURLも変更された。元々のURLにアクセスすると、トップページに転送されるようになっている。
元々の素材に日本が入っていなかった?
対応の拙さが露呈した五輪公式サイトだが、日本のネット上では「なぜ」このような事態が起きたのかに注目が集まっている。韓国側は「単純なミス」と釈明しているが、ロシアの大手メディア「RT」(ウェブ版)が、問題の背景として日韓の歴史的対立に言及するなど、韓国の「意趣」を憶測する声は少なくない。
一方、日本のネットでは、そもそも問題の地図が「フリー素材」だった、との指摘がある。問題発覚直後、ツイッターで複数人が「発見」したもので、9月27日にはウェブメディア「netgeek」が言及している。米国のデータ配布サイト「openclipart」で件の地図素材をダウンロードし、縮尺を調整して五輪サイトの画像と合わせてみると――確かに一致した。そしてこの地図には、故意なのかミスなのか、日本が含まれていない。
毎日新聞(ウェブ版)の9月27日付記事によれば、韓国側は素材について「外から持ち込んだ」ものだとしており、「フリー素材」説は一定の説得力がありそうだ。