「すぐ赤くなっちゃうけど1~2杯程度なら」「きゃ~部長、可愛い~ッ」と女性の部下からお酌され、いい気持ちになっているアナタ、そのへんでやめておかないと膀胱(ぼうこう)がんになりますヨ。
生まれつき酒に弱い体質の人は膀胱がんになりやすいという、ショックな研究を国立がん研究センターが国際がん研究専門誌「International Journal of Cancer」(電子版)の2017年10月4日号に発表した。
国立がん研究センターが全国約10万人を調査
国立がん研究センターの発表資料によると、研究チームは1990~1993年に岩手県から沖縄県まで全国10地域に住んでいた40~69歳の男女約9万5000人を2012年まで追跡、飲酒の習慣と膀胱がんの発症リスクの関係を調べた。調査開始時点でのアンケート調査から、対象者を飲酒量から次の5つのグループに分けた。また、対象者には「酒を飲むとすぐに顔が赤くなる体質かどうか」を尋ねており、「赤くなる人」「赤くならない人」でも以下の5つに分けた。
(1)ほとんど飲まない(週に1~3回以下)
(2)少し飲む。週にエタノール換算で150グラム以下。エタノール150グラムはビール中ビンなら7~8本、日本酒なら7~8合。
(3)飲む。週にエタノール換算で151~300グラム以下。エタノール300グラムはビール中ビンなら15本、日本酒なら15合。
(4)かなり飲む。週にエタノール換算で301~450グラム以下。エタノール450グラムはビール中ビンなら22~23本、日本酒なら22~23合。
(5)飲みすぎる。週にエタノール換算で451グラム以上。
平均で約18年の調査期間中に464人が膀胱がんにかかった。その結果、酒を飲むと顔が赤くなる人とならない人では、飲酒による膀胱がんの「発症リスクが異なることがわかった。赤くならない人は、飲酒量によってほとんど発症リスクの変化がなかったが、赤くなる人は(3)の中程度に飲む人の発症リスクだけがぐんと上昇した。(1)の酒をほとんど飲まない人に比べ、67%も発症リスクが高くなった。その代わり、(4)のかなり飲む人は(1)のほとんど飲まない人と同じになり、(5)の飲みすぎの人に至っては、逆に発症リスクが37%も下がった。