乳幼児に多くかかり、心臓病の恐れもある原因不明の病気「川崎病」の患者が、2015年に初めて1万6000人を超え、過去最悪の大流行となっていることが2017年9月30日、NPO法人「日本川崎病研究センター」が発表した全国調査で分かった。
同センターは「症状があればまず小児科を受診し、必要に応じて専門病院を紹介してもらってほしい」と呼びかけている。
全身の血管に炎症が起き、心臓の血管に巨大なこぶが
国立循環器病研究センターのウェブサイトによると、川崎病は1歳をピークに4歳以下の乳幼児がかかる。アジア系の人に多く、1967年に小児科医の川崎富作氏が世界で初めて報告、病名の由来になった。全身の血管に炎症が起きるのが特徴で、心臓の血管に8ミリ以上の巨大なこぶができ、心筋梗塞や急性硬膜下血腫などの命に関わる症状を起こすこともある。原因は不明だが、ウイルスや細菌に感染したのをきっかけに、それを防ごうとする免疫反応が起こり、全身の中小の血管に炎症が生じるのではないかと考えられる。
赤ちゃんの突然死の原因の1つと考えられ、また、心血管に後遺症を残すことから10数年後に突然死する例もいくつか報告されている。主な症状は次のとおりだ。
(1)5日以上続く発熱(38度以上)。
(2)発疹。
(3)両方の目が赤くなる。
(4)唇が赤くなったり、イチゴのように舌が腫れたりする。
(5)病気の初期に手足が腫れたり、手のひらや足底が赤くなったりする。 熱が下がってから、手足の指先から皮膚がむける。
(6)片側の首のリンパ節が腫れる。
過去最悪だった1982年、86年を上回る患者数
NPO法人「日本川崎病研究センター」は1970年から2年に1回、全国の小児科病院にアンケートを送り、患者数を調査してきた。同センターの発表資料によると、1980年代の1万5000人前後をピークに減少したが、1990年ごろから増加傾向に転じ、最近の調査で2015年の患者数が1万6323人で過去最高を記録したとわかった。これは、0~4歳の10万人当たり患者数が330人で、0.33%になる。また、2016年の患者数も1万5272人で、ともに過去最悪だった1982、86年の大流行期を上回る数字だ。