プロ野球・楽天のオコエ瑠偉選手(20)について報じたデイリースポーツ(ウェブ版)の記事に対し、インターネット上で「人種差別的ではないか」といった指摘が出ている。
問題視されているのは、オコエ選手が3打席連続で三振を喫したことを、「KKK」という表現で報じた記事だ。配信直後の記事タイトルには「楽天・オコエ『KKK』」という表現があったが、16日朝までに「KKK」の言葉だけが見出しから削除された。
「クー・クラックス・クラン」の略語
オコエ選手は2017年10月14日、西武とのクライマックスシリーズ(CS)初戦に8番センターでスタメン出場。相手先発の菊池雄星投手にタイミングが合わず、3打席連続で三振を喫した。
こうしたオコエ選手と菊池投手の対戦を、デイリースポーツは同日配信のウェブ版記事で報じた。このデイリー記事では、見出しと本文の両方で、オコエ選手が3打席連続三振を喫したことを「KKK」と表現していた。
この記事の配信直後の見出しは「楽天・オコエ『KKK』、菊池に3打席連続三振」というもの。本文には、
「8番・中堅で先発出場の2年目・オコエは3打席連続の『KKK』となった」
との表現がある。
「K」は野球用語で三振を意味する。一方、これを3つ並べた「KKK」という言葉は、米の白人至上主義団体「クー・クラックス・クラン」の略語として知られる。この表現を、ナイジェリア人の父を持つオコエ選手のプレーを伝えた記事に用いたことについて、ツイッターやネット掲示板には、
「この記事、人種差別と取られてもおかしくない」
「この見出しは絶対にダメだろ。デスク含めて何考えてんだ」
「差別的表現。見出しに『KKK』って完全に悪意しか感じません。最低最悪です」
との指摘が相次いだ。なかには、デイリースポーツの公式ツイッターアカウントに直接リプライ(返信)する形で、「記者のモラルを疑う見出し」「今すぐ削除してください」と非難するユーザーも複数出ていた。
デイリー編集局「今後は、配慮した報道を行いたい」
その後、この記事の見出しは16日朝までに「楽天・オコエ、菊池に3打席連続三振」と変更された。つまり、「KKK」という言葉が見出しから削除されたのだ。一方で、同日13時時点で、記事そのものや本文中の「KKK」表現は削除されていない。
デイリースポーツ編集局報道部の担当者は16日のJ-CASTニュースの取材に対し、オコエ選手の3打席連続三振の記事の見出しを変更した理由について、
「弊社では『K』はあくまで三振を表す野球用語・記号と認識しております。『K=三振』は野球ファンのユーザーには十分通用すると思っておりますが、ただ一般ユーザーに分かりやすく見出しをつけた方がいいという判断で、変更いたしました」
と説明。その上で、インターネット上で「KKK」という表現を用いたことに批判が出ている点については、
「『差別的表現』とインターネット上での指摘があったことは遺憾ではありますが、今後は、配慮した報道を行いたいと思います」
と回答した。
なお、J-CASTニュースが新聞記事データベース「日経テレコン」で調べたところ、デイリースポーツの収録記事32万3458本(16日13時時点)のうち、「KKK」という表現が見出しや本文で使われた記事は37本あった。
その中には、1人の打者が3三振を喫したという意味で「KKK」を使った記事は見当たらず、
・3者連続三振があったことを伝えたもの...17件
・阪神の2011年シーズンの勝利の方程式の愛称「KKK」(久保田智之-小林宏之-藤川球児)に関するもの...19件
・クー・クラックス・クランの略語...1件
だった。