「安定税収源」に脅威
この動きの背景にあるのが、たばこ税の税収減だ。加熱式の普及に伴う税収減がある。2017年4~7月のたばこ税収(国税分)は、前年同期比2.6%減少した。財務省などによると、国内の紙巻きたばこの販売数量は16年度に1680億本と20年でほぼ半減したが、03年度以降、3回たばこ税を増税したことで税収は国・地方合わせて2兆円超。「安定税収源」(同省)だけに、加熱式の急速な普及は脅威というわけだ。
共同通信と第一生命経済研究所の試算では、2017年のたばこ税の税収は前年より500億円以上減少する見通しという。JTは、たばこ市場に占める加熱式の割合は17年末時点で18%程度、20年には30%を超える可能性があると予測。このままでは税収はさらに落ち込む可能性が高いと言える。
ただ、増税した場合、価格転嫁されて値上がりする可能性があり、「大衆課税」との批判のほか、「紙巻きたばこより健康被害が相対的に少ないなら、むしろ価格を下げて普及を促すべきで、健康行政に逆行する」との指摘もある。
さらに、加熱式の販売競争は今後、一段と激化する見込みで、増税になってもメーカーがそのまま価格に転嫁できず、経営を圧迫する可能性もある。