たばこ規制の対象に?対象外?
たばこといえば健康が問題。加熱式でも、たばこはたばこだから、蒸気にはニコチンなどが含まれ、体に悪くないわけではない。販売会社は「蒸気に含まれる有害物質は煙よりも少ない」としつつ、「リスクがないわけではない」と慎重な姿勢。嫌煙団体などからの批判を気にしているようだ。また、周囲の人の受動喫煙といった影響についてははっきり分かっていないといい、飲食店などでも「加熱式たばこは可」としている場合もある。罰則のない努力規定にとどまる東京都の受動喫煙防止条例は成立したが、東京五輪に向けて国が検討するたばこの規制法で加熱式たばこをどう扱うかは、今後の議論次第ということになる。
では、税はどうか。紙巻きの税金は1本あたり約12.24円で、一般的な1箱20本入り440円(税込)のうち、たばこ税(244.88円)と消費税(32.59円)合わせて277.47円が税金で、価格の63.1%が税金。これに対し、加熱式は1箱の価格が概ね420~460円(税込)と紙巻きと同水準だが、たばこ税はアイコスが200円程度、プルーム・テックは約34円と安く、消費税を含む税金の割合は価格の14.9~49.2%と、紙巻きより低く、かつばらつきも大きい。
差が出るのは、タバコの葉を使う量の問題だ。加熱式は、税法上は「パイプたばこ」に分類され、葉などの重量に応じて税額が決まる。税額は1グラムを紙巻き1本として12.24円。紙巻きは火をつけて吸っても、せいぜい半分くらいのところで終わり、つまり葉が半分は「無駄」になるが、加熱式は葉を効率よく使うため、価格に占める税の比率が低くなるわけだ。
そこで政府内では、1グラムあたりの税額を引き上げたり、小売価格に一定の税率をかけて税額を紙巻きと揃えたり、といった案を軸に検討する見通しだ。自民党税制調査会の宮沢洋一会長は「それなりの答えを年末までに出す」と述べている。どのくらいの期間で、どの程度の水準にするかは別にして、加熱式を増税して紙巻き並みを目指すという方向性ははっきりしている。