遺伝と環境の影響は単純ではない
しかし、本当のそうなのだろうか。J-CASTヘルスケアがある心療内科医に取材をしたところ、「驚くほどの高値ではなく、従来よりもやや上がったなという印象」とし、次のように話す。
「従来から遺伝リスクは40~60%台とされ、遺伝3分の2、環境3分の1というのが有力とされています。こうした推計値は計算方法によって変わるので、79%という数値が飛びぬけて高くなったとは感じません」
またこの医師によると、論文では双子は完全に同じ環境下にあると仮定している、双子の治療状況や服薬している薬品の種類は不明など、推計を明快にするために条件が簡略化されている点も見られ、今回の数値が決定的になるとは思えないと指摘する。
「例えば統合失調症の患者の子どもは遺伝的にも環境的にも強い影響を受けていることになりますが、子どもが発症する確率は約10%と言われます。もし家族に既往歴があるなら、遺伝を心配するより違法薬物やアルコールの過剰摂取を避けるほうが現実的な対応だと思います」