最近、公園に行くと、ブランコや滑り台の代わりに大人用の遊具が目につく。「健康遊具」で、筋トレになるばかりか、高齢者の介護予防にもなるという。
いったいアレはどう使うのだろうか。J-CASTヘルスケアでは、「青空スポーツジム」と化しているという公園に出かけた。
70代オジサンが体操選手並みに平行棒をこなす
J-CASTヘルスケアの記者(男性・60代後半)が訪れたのは千葉市花見川区にある花島公園。実はここは、記者が日課にしている早朝ウォーキングのコースの1つだ。朝早くからウォーキングやラジオ体操、太極拳などで汗を流す人々でにぎわう。広々とした芝生広場に「健康遊具」を置いた一角があるが、一度も使ったことがなかった。さっそく使ってみた。
遊具は全部で7つ。1つ1つにイラストで使い方が記されている。通りかかった70代男性Aさんが、腕力と腹筋を鍛える「パラレルスロープ」(平行棒)をやって見せた(写真)。
Aさん「ここに来る時はいつもやっていますよ。スポーツジムみたいにカネがかからないからね」
さすがにいつも鍛えているだけあって、体操選手のように見事に両足が直角(90度)に上がる。記者がやると、70度くらいしかあがらなかった。ウォーキングで足には自信があるが、上半身の筋トレはここ数年サボっているため、3~4回やっただけで両腕と腹筋がプルプル震える。
続いて、Aさんに教わったのは、「上半身ひねり」(写真)。2本のポールの間に半円形の手すりがついた遊具だ。真ん中の台の上に両足をそろえて立つ。そして、両手で手すりを握りながら、右端から左端までゆっくり滑らせ、上半身をゆっくりひねる仕掛けだ。Aさんの後ろ姿を見ても、さして腰がひねられているようには見えない。
記者がやってみると、ナルホド、腰が無理なく少しずつひねられるのがわかる。脇腹やふくらはぎの筋肉まで伸びる。ラジオ体操のように腕を大きく振って腰をひねる動きだと、ギックリ腰になる心配があるが、これならジンワリと腰の周辺に効いていく感じだ。
パソコン作業で丸まった背中を気持ちよく伸ばす
次に「背中伸ばし」を行なった。木製のベンチがアーチ形に大きく曲がり、その上に半円形の手すりがついている。写真のように手すりをつかみながら、徐々に背中を曲げていく。普段パソコン作業で猫背になっているので、背中が固まっているのがよくわかる。手をどんどん背中側に滑らせていくと、背中がジンワリと伸び、とても気持ちがよい。写真右側に半円形の手すりとポールが立っているが、これは「車いすの人用背中伸ばし」だ。車いすの人は背中が丸まりやすい。手を大きく上に伸ばし、手すりをつかむと背中が伸びる。健常者と障害者の両方が使える優れものだ。
70代の女性Bさんが「バランス歩行用平均台」(写真)の上を歩いていた。高さは20センチほど。幅は30センチほどだ。転んでも大丈夫なように手すりがついている。歩きながらバランス感覚を養う遊具だ。
Bさん「ここへは雨降りの日以外、毎日来ています。家の中にはバランスボールとか、健康器具がいくつかありますが、すぐ飽きちゃいます。やっぱり青空の下でやると、気持ちがいいですね。お友達もいますし」
Bさんが楽々と歩くので、記者も歩いてみると、これが意外に難しい。3回フラフラして、4回目でやっと手すりに触らずに歩けた。Bさんは後ろ向きでもスムーズに歩いたが、記者はまたの機会ということで遠慮した。
「平均台」の上を歩くのは簡単そうで難しい
昔懐かしい鉄棒があった。子どもの頃、逆上がりや前回りをやったものに似ているが、これも「大人用」で、「斜め懸垂(けんすい)」(写真)という遊具だ。地面に足をつけ、背中を真っ直ぐに伸ばして懸垂する。ぶら下がり懸垂より楽だが、筋トレをしていない身には、5~6回やると腕と胸の筋肉がパンパンになる。左の低い方でやると、さらに強度が増す。
もっと、難しいのが「大人用うんてい」(写真)だ。これも子どもの頃に遊んだものに似ているが、高さが2メートル以上あり、手でつかむ横棒と横棒の間がかなり広い。一番手前の横棒にぶら下がっただけで、「鍛え直さないと無理」とわかり、あきらめた。
鉄棒の「ぶら下がり」で姿勢の改善と腰痛予防が
最後に挑戦したのが、「懸垂鉄棒」(写真)だ。これは3つの運動ができる。まず一番上の横棒で「懸垂」。腕力が大いに鍛えられる。同じ横棒での「ぶら下がり」。背骨や椎間板が伸びるので、姿勢の改善や腰痛予防に効果がある。また、上半身の様々な筋肉を伸ばすことができる。3番目が、真ん中の横棒を使った「ぶら下がり屈伸」だ。懸垂状態のまま両足を直角に伸ばすことで、腹筋が鍛えられる。難しい大技だ。
記者は、ぶら下がりを10秒ほど、懸垂を何とか1回こなし、「ぶら下がり屈伸」はパス。鍛え直して出直すことにした。つくづく筋トレの大事さを痛感した。
国土交通省が2016年3月に発表した「全国都市公園の遊具調査」によると、ブランコ・滑り台などの子ども用遊具が減る一方なのに、大人用の健康遊具が増えている。全国の公園にある健康遊具は2万6362台で、1998年の5690台に比べ、4.6倍も増えた。「健康遊具がある公園を紹介します」と、公園の場所と遊具の種類・使い方をウェブサイトで公開している市や区は非常に多い。札幌市、仙台市、横浜市、足利市、川越市、日野市、伊丹市、高槻市、松山市、大分市、豊見城市......などなど。
住んでいる市町村に問い合わせたり、近くの公園を訪ねたりしてはいかが。