インフラ・不動産に依存する成長ロジック
最近の中国共産党中央政治局会議などから伝わる情報からすると、現在の経済情勢に対する中国の政策決定層の見方はいたって冷静であり、強調されているのは現状の深化及び改善であって、転換ではない。いわゆる「新サイクル」との言い方は政府側の見方とは逆だということがうかがえる。
マクロ経済の動向から判断すると、特にサイクルの転換点の判断に関しては、一時、一地域そして限られた数のデータの動きに基づくものであるべきではない。むしろ、その背後にある成長ロジックに変化が生じていないかどうかに注意を払うべきだ。
中国経済はまだ基礎固めの段階にある。現在のGDPと投資の成長は2010年以降最低ラインをうろついており、GDPの累計は前年比で成長が2015年末の水準に戻ったが、投資の累計の方は前年比で成長がまだ2015年末には及ばない。今後の中国経済の成長は、依然として下降圧力に直面することだろう。インフラ建設や不動産に過度に依存する成長ロジックは、根本的な変換とはならない。
現状を無視して「新サイクル」を打ち出す人たちには、近く開幕する5年に1度の共産党大会の前に祝賀の雰囲気を作りたいという下心があるのではないかと勘繰りたくなる。
(在北京ジャーナリスト 陳言)