設備投資の刷新はまだまだ先の話
早々に「新サイクル」がすでに確立されたと宣言するとしたら、危険は目にもあきらかである。なぜなら、こうした見方は、供給側の改革の成果を過大評価し、目の前に迫っている金融と債務のリスクを過小評価してしまう。さらに、技術革新政策による効果がすでに十分強化されていると思い込んでしまい、進めるべき経済モデルの転換の最適の時機を逃してしまうからだ。
あるシンクタンクの研究では、中国はすでに何度も設備投資を目標にした「ジュグラーサイクル」を経験しているが、設備投資が成長に及ぼす影響はだんだん下がっている。総人口の高齢化などの構造的な要素が関係しているからだ。設備のさらなる刷新では、高い成長を支えるのは難しい。まして、中国の製造業界は生産能力削減の途上にあり、これまでの生産能力の周期から判断すると、大規模な設備の刷新は少なくとも2018年まで待たなくてはならないだろう。
さらに、技術革新により決まる長いサイクルには、より多くの不確定な要素が伴う。現在の技術革新は中国にとってまだ先の事柄であるため、現在のニーズを満たすものとはならない。それゆえ、「新サイクル」がすでに到来していると断言するのは気が早すぎる、と言わざるを得ない。