単独路線か提携か
効率化を推進して、次に狙うのはEVの強化だ。ホンダは「2030年に4輪車グローバル販売台数の3分の2を電動化する」目標を掲げている。昨16年秋には「EV開発室」を設置。プラグインハイブリッド(PHV)、燃料電池自動車(FCV)に加え、EVも柱に据えた。まずは18年に中国で、専用モデルを発売する計画だ。
寄居には、電動化の生産技術を構築・標準化し、海外の生産拠点に展開させる機能を新設する。世界各地のエンジニアが集い、日本で蓄積したノウハウをベースに生産技術やプロセスの企画を共同で行う。これを世界に水平展開し、高品質な新商品をスピーディーに立ち上げ、各市場に投入する。
ホンダの年間の世界販売台数は約500万台で、ルノー・日産連合、独フォルクスワーゲン(VW)、トヨタ自動車、米ゼネラル・モーターズ(GM)の「4強」の半分程度に過ぎない。巨額のEV開発費は各陣営の重荷だが、ホンダは規模が中途半端なだけに、単独で生き残れるのか、微妙な位置にある。
八郷隆弘社長は「モーターは日立オートモティブと、燃料電池はGMと連携している」と述べ、部分的には他社との協業が不可欠との認識を示しているが、競合他社との資本提携は、独自路線を志向する「ホンダのDNA」にそぐわない。寄居がEV拠点として大きな役割を果たし、EV市場をリードできれば単独での生き残りが可能だが、そうでなければ他社との連携に動く――。そんな分岐点にいるのかもしれない。