女性の太りすぎは卵巣がダメージを受け妊娠しにくいことが知られているが、男性の肥満も「精子力」が落ちて子宝に差し障りがありそうなことがわかった。
インドの不妊治療専門施設、クリシュナIVFクリニック生殖支援センターの研究チームが男性生殖学専門誌「Andrologia」(電子版)の2017年9月19日号に発表した。
「量」「数」「濃度」「スピード」の4冠がダメに
同誌の論文要旨によると、同センターのゴットームカラ・ラマラジャ医師らの研究チームは、不妊治療のために同センターを受診した男性1285人の精液と精子を分析した。コンピューターによる精子の画像解析の結果、BMI(体格指数)30以上の肥満の男性の精液・精子は、そうでない人の比べ、「精液の量」「精子の数」「精子の濃度」「精子の運動性」(卵子に向かって動くスピードなど)の44つの面で能力が低いことがわかった。さらに、精子の頭部が洋ナシのように先細りになるなど、形態の面でも異常が多くみられたという。
「BMI30」といえば、身長が170センチとした場合、標準体重が63.6キロなのに対し、86.7キロに相当する。かなりのオデブさんになる。
ラマラジャ医師は論文のなかでこう語っている。
「肥満の女性が妊娠するまでに時間がかかることが知られていますが、今回の研究は、肥満男性もまた受胎の遅れの原因であることを証明しています。ただし、男性の肥満が精子の質を低下させていることは確認できましたが、その理由については、コンピューターによる精子の分析が始まったばかりでよくわかっていません」
ラマラジャ医師は、理由の説明を避けたが、実は「肥満体型が精子の質を悪化させる」という同様の研究結果が英国でも発表されている。