成人の3人に2人が「太り気味」以上という「肥満大国」の米国で、がんになる人の40%が「過体重」や「肥満」に関連しているというショッキングな調査が発表された。
米疾病対策センター(CDC)が2017年10月5日付月例報告「Vital Signs」(命の兆候)に掲載した。米国では1990年代以降、新たながん患者は全体的に減少傾向にあるのに、過体重(BMI=体格指数25?29.9)と肥満(BMI30以上)に関連するがん患者だけが増えているという。
乳・胃・肝・すい・腎・大腸など13のがんが肥満と関係
「Vital Signs」によると、「過体重・肥満関連がん」とは、髄膜腫、甲状腺がん、食道がん、閉経後女性の乳がん、胃がん、肝臓がん、すい臓がん、腎臓がん、胆のうがん、大腸がん、子宮がん、卵巣がん、多発性骨髄腫の13種類だ。これらは、世界保健機関(WHO)のがん研究専門組織である「国際がん研究機関」(IARC)が2016年9月、1000件以上の論文を分析した結果、がんの発症リスクに過剰な体重が関係していると認定した。IARCは「適正な体重を保つことが、これら13種類のがんの予防につながる」と発表している。
今回の報告によると、2005年から2014年の間に、過体重・肥満に関連しないがんは13%も減少したのに、これらのがんは7%も増加した。2014年だけをみると、約63万人が過体重・肥満関連がんと診断されており、すべてのがん患者の約40%を占める。特に女性に多く、がんと診断された女性の55%、男性の24%が過体重・肥満関連がんだった。
しかし、米国人の大半が過体重や肥満が、いくつかのがんの発症と関連しているという情報を知らないという。今回の報告を受け、CDCのブレンダ・フィッツジェラルド長官はメディアに次のようなコメントを発表した。
「米国人の大多数が推奨体重を超過しています。今回の報告は非常に懸念すべき材料です。太りすぎはがんの発症リスクを高めることをよく認識し、健康的な体重を維持して誰もががんを予防するよう努めるべきです」
日本人も「肥満はがんの原因」と知ってる?
そして、医療者が肥満患者に対して行うべき具体的な援助策として以下の3点を挙げた。
(1)患者の体重・身長を測りBMIを算出し、健康的な体重の維持ががん予防に役立つことをアドバイスする。
(2)患者のダイエットに役立つさまざまな活動やプログラムに患者を参加させる。
(3)患者と家族に、健康的な食生活や運動を手助けするコミュニティーサービスを紹介する。
どれもが基本的な内容ばかりで、それほど米国民の肥満が深刻になっているということだろうか。それにしてもわれわれ日本人もどれだけ知っていることか。