【ガッテン!】(NHK総合)2017年10月4日放送
「血圧急上昇の正体!"血圧サージ"にご用心!」
高血圧は、脳卒中や心筋梗塞を引き起こす原因となる。減塩や降圧剤を使うなどして、血圧をコントロールするのは大切だ。
しかし、普段から気を付けて正常な血圧を保っていても、ありえないほど急上昇する場合がある。しかも、ささいなきっかけで誰にでもおこりうるのだ。
起床だけでも血圧は上がる
首藤孝治さん(75)は、4年前突然脳梗塞に襲われた。
10年間毎日血圧を記録し、正常な血圧(上140mmHg未満、下90mmHg未満)の範囲を保っていた。減塩を心がけ、主治医に処方された降圧剤も欠かさず、健康に気を遣っていた。
しかしある朝、ゴミ出しに行って朝食を摂(と)ろうとすると、箸や茶碗が持てなかった。緊急入院し、軽い後遺症は残ったが一命は取り留めた。
首藤さんは偶然にも倒れる直前、腕に付けておくと30分ごとに血圧を計測する「24時間血圧計」の記録を取っていた。確認してみると、21時に寝てからしばらくは正常な血圧だったが、朝4時半頃から上昇し始め、7時半には上が180mmHgにまで急上昇した。
首藤さんの血圧を上げたのは「サージ」だ。
英語で「波」という意味で、血圧は常に変化しているが、巨大な血圧の波が押し寄せる時がある。
ある程度の変化なら短時間で元に戻るが、高い圧力の巨大な波が襲いかかると、血圧がきわめて高い状態が長時間続いてしまう。この「危険なサージ」が脳卒中の引き金となる。
血圧は朝起きるだけでも20mmHgほど上がるほか、カフェイン、運動、寒さ、トイレで力んだ時、階段の上り下り、緊張、深酒、喫煙、そして1週間が始まるプレッシャーで月曜日にも上がる。
首藤さんは朝起きてから、上り坂の先の集積場へゴミ出しをしていて、前夜には深酒をしていた。血圧を上げる要素が重なり、脳梗塞を引き起こしてしまったのだ。
ベルトをゆるめたら血圧低下!?
危険なサージを避けるには、血圧を上げる要素が重ならないよう注意するのが大切だ。
特に危険なのが深酒だ。大量に飲酒すると、寝ている間、舌を支える筋肉がゆるんで気道がせまくなり、呼吸が何度も止まってその度に血圧が跳ね上がる。神経が興奮状態になり、眠りも浅くなる。ビールだと大びん2本半、日本酒なら2合以上だと危険なサージの大きな要因となる。
血圧は30歳になったら定期的に測るとよい。自宅に血圧計を用意するのがベストだ。
まずは5日間、朝起きて1時間以内に血圧を測ってみる。上の平均が135mmHg以上かつ変化の幅が20mmHg以上だと、危険なサージが起こっているおそれがある。
有酸素運動で適度に血圧を上げるのも大事だ。有酸素運動をすると血流が速くなって血管の細胞を刺激し、一酸化窒素が放出されて血管がやわらかくなる。
番組では、日本高血圧学会員の医師が勧める、血圧を下げる知恵を紹介した。
まずは「ベルトをゆるめる」。ベルトがきついと、大動脈を圧迫して血圧が高くなるケースがあるという。
「スリッパをはく」のも効果的だ。足元は温度に反応しやすく、例えば冬の朝に起きて冷たい床に触れると血圧が急上昇するおそれがある。
ストレスによる血圧上昇には「深呼吸」がよい。30秒で6回すると、上が20~25mmHgくらいは下がる。一時的ではあるが、緊張した時やイライラした時には効果アリだ。