「健康カプセル!ゲンキの時間」(TBS系)2017年10月8日放送内容 眼精疲労で退職! 放置危険!
たかが目の疲れと放置しておくと、全身が倦怠感に襲われ、やがてうつ病を発症し退職する羽目に――。
最近、スマホの見すぎから恐ろしい病気になる人が増えている。アナタのその頭痛、肩こり、カラダの不調は目から来ているのかもしれない。目の疲れの超簡単な解消法からメガネの正しい作り方、そして怖~い「眼精疲労」の改善法を紹介する。
スマホ画面の気づかない点滅が超キケン
番組では冒頭、恒例のクイズが出された。「質問:疲れ目のために休憩時にとったほうが良い物は? 答え:A:キャラメル B:ガム C:チョコレート」。正解は「ガム」だ。井上眼科病院の井上賢治院長がこう説明した。
井上院長「目の疲れは、目の焦点を合わせる毛様体筋が緊張することで起こります。毛様体筋は近くの物を見る時に緊張が高まります。つまり、近くのものを長い時間見る時間が長くなればなるほど、目が疲れてしまうと言うことです。噛むことで目の周りの血流が上昇し、毛様体筋がほぐされるのです。ガムをかむことによって、白目の部分の血流がおよそ70%もアップしたという報告もあります」
井上院長によると、スマホを見続けることが目によくないのは、近くの物だからというだけではない。スマホ画面はバックライトに照らされている。この時、人の目には気がつかないほどの短時間で、明暗を繰り返して明るさを調節している。この明暗に目がついていけないために疲れるのだ。さらに、スマホを長く使うと、まばたき回数が減り、目の表面が乾いてドライアイになりやすい。ここで番組スタッフが実験をした。1分間道を歩いている時のまばたき回数を測ると19回だった。ところが、スマホを使っている時は5回。なんと4分の1以下に減ってしまった。
目の前の物を見続ける作業がいかに目の疲れを招くか、番組では東京・銀座にある宝石加工店「OZUジュエリー工房」を訪ねた。ここの職人は、小さな宝石を研磨する細かい作業を長時間続ける。さっそく、50代のAさん、20代のBさんの目の疲れを、毛様体筋の緊張度から測る特殊な装置で調べた。2人とも勤務時間が終わるころは、毛様体筋の緊張度が跳ね上がっていた。
ところが、70代のベテランCさんは全く疲れていなかった。Cさんの仕事ぶりを作業場に設置したカメラで検証すると、2人のように集中して1~2時間も作業を続けることはせず、適度に息を抜いていた。10分ごとに遠くを見たり、周囲に話しかけたり、立ち上がって歩いたりして気分転換をしていた。目を休めていたのだ。井上院長がこう感心する。
井上院長「目を疲れさせない工夫は、近くのものから適度に目線を外すことが重要。目が休憩をとることで目の疲れ度が変わってきます。パソコンやスマホを見る時は15分に1回休憩をとってください。また、疲れ目対策には、40度ほどの蒸したタオルを30分ほど目の上にのせると、驚くほど疲れがとれます」
メガネの度数は毎年眼科で検査しよう
また、度数の合っていない眼鏡やコンタクトレンズを使い続け、知らず知らずのうちに目が慢性的に疲れている人が非常に多い。番組では街の人々に、メガネの度数を変えたのは何年前か尋ねた。ほとんどの人が「3年以上前」と答えた。
井上院長は「疲れ目が気になる人は、毎年眼科で視力を検査したほうがいい。度が合っていないメガネは目の緊張を高めるばかりか、頭痛や肩こりの原因になっている場合もあります」
老眼は40~50代から始まる。老眼が進行していることに気づかず老眼鏡を作らない人が多い。番組では、「老眼ではない」と思っている50代男性に、「老眼鏡なし」と「老眼鏡あり」で同じ大きさの活字の文章を読ませた。「老眼鏡なし」だと2分57秒かかったが、「老眼鏡あり」だと1分58秒だった。老眼鏡を使うと3分の1も早く、しかも楽に読めたわけだ。これを見て、番組キャスターの渡辺満里奈さん(46歳)が言った。
渡辺さん「私、意地でも老眼鏡は作らない方針でしたが、さっそく眼科に行きます」
さて、疲れ目の中には恐ろしい病気が潜んでいる場合がある。50代の男性・吉田さんは、スマホを始終見ていて目の疲れを感じていたが、寝れば治ると思ってほっておいた。ある日、こめかみを中心に頭痛を感じはじめ、全身を襲う倦怠感に悩まされるようになった。いくつかの病院を回っても原因がわからず、眼科でも視力が良かったことから「問題なし」とされた。原因不明のことから、うつ症状になり、家に引きこもって仕事を辞めてしまった。
やがて、梶田眼科の梶田雅義院長を受診し原因がわかった。「眼精疲労」だった。眼精疲労とは、目の疲れ・痛みに加え、頭痛や食欲不振、イライラや不安感からうつ病になることもある症状だ。吉田さんの眼精疲労の原因は、「外斜位」だった。梶田院長がこう説明する。
日本人の3人に1人は斜めで見る「斜位」
梶田院長「外斜位とは、一見左右の目が同じ位置にあり、同じ方向を見ているように見えるのに、目を休ませると、休ませた方の目が外側にずれる状態をいいます。斜位に似たものに『斜視』がありますが、斜視は眼球を動かせないのでわかります。斜位は無意識に視線を合わせるため、本人にも自覚がなく、疲れやすくなります。日本人の3人に1人が斜位ですが、この症状は最近多くなっています。原因はスマホです。近くを見る時間が多くなったことで、無理に目を寄せる時間が長くなったことが原因です」
梶田院長は、吉田さんに「プリズムメガネ」が処方した。プリズムメガネとは、光の屈折を利用し、目に負担をかけずに見えるように調節したレンズだ。
このメガネのおかげで、吉田さんは目の疲れだけではなく、頭痛と倦怠感が大幅に解消し、うつ状態からも解放された。最後に井上院長がこうアドバイスした。
井上院長「目が疲れやすいという実感があり、他にも不調がある人は、まず、スマホを見る時間を減らすことを勧めます。そして、ぜひ眼科を受診してください」