海馬以外も活性化していた
MRIの観察結果でも両者には大きな違いが確認されている。「天気予報タスク」に取り組んでいるとき、ゲーマーも非ゲーマーも学習や記憶において重要な役割を果たす脳の「海馬」が同程度に活性化していたが、ゲーマーは海馬以外の領域も活性化。
意識して記憶したわけではないが知識として保有している「意味記憶」や視覚画像などの制御を司る脳の他の部位も活性化しており、明らかに海馬以外の領域も鍛えられていることがわかった。
今回の結果から、シェンク博士らは、
「ゲーマーは状況を素早く分析し、新しい知識を生み出し、事実を分類し、特に高い不確実性を伴う状況で得た知識を活用する能力が優れている」
とし、さらにゲーム研究が進むことで高齢者の認知機能改善だけでなく、若年層の学習能力改善などにも応用できるのではないかと指摘している。
ちなみに論文によると、今回の研究で集められたゲーマーたちはリアルタイムストラテジー(RTS)の名作「スタークラフト」シリーズの愛好家だ。RTSはリアルタイムに進む時間や環境の変化に対応しつつ、的確な戦術・戦略を立て部隊や軍隊を指揮し、プレイヤー同士が対戦するというもの。こうしたゲームのジャンルによっても脳に与える影響が異なるのかもしれない。