「最悪」すい臓がんに画期的な治療法発見! 抗がん効果が1000倍アップ、圧倒的に安い

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   筑波大学と産業技術総合研究所のチームは、がんの中でも最も治りにくい悪質なすい臓がんの画期的な治療法の開発につながる発見をしたと2017年9月26日に発表した。

   年間数百~数千万円もかかる現在の治療法に比べ、約1000倍も強い抗がん効果があり、しかも非常に安価だという。研究成果は米がん学会誌「Molecular Cancer Therapeutics」(電子版)の2017年10月号に発表した。

  • レクチン・薬剤融合体の仕組み(筑波大学などの発表資料より)
    レクチン・薬剤融合体の仕組み(筑波大学などの発表資料より)
  • レクチン・薬剤融合体の仕組み(筑波大学などの発表資料より)

従来の治療薬は年に数百万~数千万円もする

   すい臓がんは、末期になってから症状が現れるケースが大半だ。「早期発見しにくい」「転移しやすい」「治療が難しい」「生存率が低い」と悪条件が4つもそろい、「最悪のがん」と呼ばれる。国立がん研究センターが2017年2月に発表した統計によると、すべてのがんの「5年生存率」の平均が62.1%なのに、すい臓がんは7.7%と主ながんの中で最も低い。「10年生存率」は4.9%まで下がる。最近では、米アップル創業者のスティーブ・ジョブズさん(享年56)、歌舞伎俳優の坂東三津五郎さん(同60)、元横綱千代の富士さん(同61)らが命を落とした。

   筑波大学などの発表資料によると、現在の治療法の多くはがん細胞に現れる特有のタンパク質を標的にしたものだ。そのタンパク質を治療薬の「運び屋」にして、がん細胞の株まで届けさせるのだ。しかし、「運び屋」になるタンパク質は発見しつくされた感があるうえ、一定の治療効果が期待できる抗体医療は、1人のがん患者あたり年に数百万から数千万円もかかる非常に高価な薬剤が使われる。治療を受けられる患者が限られるうえ、国の医療費負担が急上昇する問題が起きている。

   そこで、研究チームは発想を変え、がん治療の標的を、種類が出尽くしたタンパク質ではなく、がん細胞に特有に現れる糖類に探すことにした。すると、ある種類の糖鎖(糖が鎖上に連なったもの)ががん細胞の表面に強く現れることを発見した。そして、「レクチン」というタンパク質がそれに結合することを確認した。マウスの実験で、すい臓がんを発症したがん細胞に、このレクチン・糖鎖結合体を「運び屋」にして治療薬を投与すると、非常に多くの治療薬をがん細胞の株まで送り届けることがわかった。その抗がん効果は、従来のタンパク質を「運び屋」にした治療薬より約1000倍も強力だったという。

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