スマートフォンの普及もあって、今や誰でも、気軽に写真が撮れるようになった。フィルムカメラのように残り枚数を気にする必要もないし、その場で確認していくらでも撮り直しもできる。
そんな中で注目を集めているのが、韓国のIT企業が開発した「Gudak Cam」というカメラアプリだ。写真の「現像」に3日かかるなど、不便なスペックを搭載しているにも関わらず、ネット上では人気を集めている。
現像に3日かかり、フィルム1本につき24枚しか撮れない
「Gudak Cam」は、2016年10月26日に設立されたIT企業Screw Bar(韓国・ソウル)が開発。公式サイトによると、17年7月7日にリリースした。
リリース後、韓国のガールズグループである「BLACKPINK」が同アプリを利用した写真を撮るなどしており、日本では8月12日には韓国トレンド情報を配信するメディアである「BEBE」で取り上げられるなど話題となった。また、宣伝会議のポータルサイト「AdverTimes」でも9月29日に紹介されている。
アプリを起動すると、スマートフォンの画面に米コダックのインスタントカメラを模したデザインのインスタントカメラが表示される。画面をタップして写真撮影を行うのだが、画面内に写る「ファインダー」はインスタントカメラさながらの小さなサイズになっていたり、右下には残り枚数が表示されていたりと、レイアウトに凝っている。写真の右下に日付を入れられるなどの機能もある。
フィルム1本につき24枚の写真撮影が可能だが、24枚撮りきらないと現像はできず、現像にも撮影終了から3日かかる。当然、撮った写真をすぐに確認できる機能はついていない。
1フィルム分24枚を撮り終わってから、さらに写真を撮りたい時も「フィルムの交換」が必要で、これには撮影終了から1時間を要する。撮り終わった写真は、24枚のフィルムごとにアプリ上で保存されるようになっている。
レトロな出来栄えを好感 待ち時間も楽しみに
このアプリがこんなにも不便なのはなぜか。同社の公式サイトによると、現代社会において人々は瞬間を切り取るスリルや、プリント写真の現像を待つことへの美学を失っていると指摘。そのため、多くの写真を撮り、その中から良いものを選ぶのではなく、「旧式の瞬間」を取り戻すことを望んでおり、機能を95%削減して、写真を撮るために必要になる最低限の機能を残した、としている。
「#gudak」とインスタグラム上で検索をかけると、日本のみならず、韓国や中国、ロシアなどの世界各国で「Gudak Cam」で撮ったと思われる写真が見られる。10月4日現在、画像は18万件超あげられており、ネット上では、
「レトロ風に撮れててめっちゃおしゃれ」
「仕上がりが本当にフィルムみたいでとっても可愛い」
と、今の時代にはない出来栄えが好評のようだ。ほかにも、
「Gudakてアプリでテキトーに撮ってみたんだけど写ルンですっぽい写りで遊べそ~」
「本当のインスタントカメラみたいでおもしろい」
と、昔のインスタントカメラを思い出す向きも。「今日やっとgudakが現像されたの!!待ち遠しすぎるけどそれも魅力だよね!!」と、今や現像を待つ時間も楽しみの一つになっているようだ。