映画の世界なら「美男と美女」のカップルが理想だが、現実の世界では男女間に外見格差があるのは当たり前。「イケメン」の彼氏が欲しいと思ったアナタ、不幸になるかもよ~。
米フロリダ州立大学のチームが、自分より外見が魅力的な夫を持つ女性は不幸せになるという研究を心理学誌「Journal Body Image」(電子版)の2017年9月号に発表した。逆に妻の方が魅力度の高い「美女と野獣」カップルが幸せになるという。
夫の魅力がプレッシャーに、精神的に追い込まれる
多くの人種、民族が生活する米国では、外見に関する研究が盛んだ。今回の研究が発表された雑誌も、まさに「ボディーイメージ」、身体や外見がその人の心理状態や健康、友人関係、社会的地位にどのような影響を与えるかを研究する分野の専門誌だ。
フロリダ州立大学のプレスリリースによると、同大学博士課程の学生タニア・レイノルズさんとアンドレア・メルサー助教授は、カップル同士の魅力度の格差が、それぞれの男女の幸福感にどんな影響を与えるかを調べた。
対象に選んだのは自分の外見を評価されることに同意した113組のカップル。平均年齢が20歳、結婚4か月以内という新婚ホヤホヤの若者たちだ。参加者全員の等身大の写真を撮影した後、それぞれの顔と体の「魅力度」を1~10ランクで評価した。魅力の評価は、公平性・客観性を維持するため、体の採点は同大学のチームが、顔の採点は別の大学のチームが行なった。両評価チームは異なる人種で構成し、顔と体の合計点で「魅力度」をランク付けした。
そして全員にダイエットと食生活、健康に関する詳しいアンケート調査を行なった。すると、次のことが明らかになった。
(1)自分より容姿がいい夫を持つ女性(注:夫の魅力度が8点、妻が3点などのケース)は、ダイエットに関してかなり自分に厳しく、かつ不健康な回答をした。「食べた後、ものすごく罪悪感がある」「胃の中が空になる感覚が好き」「太ることが恐ろしい」などと答える人が多かった。イケメン夫を持つと、スリムでいたいために、エクササイズやダイエットをしなければという強迫観念に強くとらわれる傾向があった。夫の容姿がいいことが、妻にネガティブな影響を与えるわけだ。
(2)反対に夫より容姿がいい女性や、夫と同程度の魅力の女性は、ダイエットをそれほど気にしていなかった。(1)の女性のような強迫観念を持たず、全体として現在の自分の体のイメージに満足していた。
(3)一方男性側は、妻の魅力度の点数が高かろうが、低かろうが、食生活やダイエット意識にはほとんど影響を受けなかった。少なくても心理・健康の面では妻の魅力度は関係なかったわけだ。
イクメン夫は妻に「君は美しい!」と言い続けるべき!
こうした結果について、レイノルズさんはプレスリリースの中でこう語っている。
「女性にとって、特に自分が魅力的ではない場合は、身体的に魅力のある夫を持つことは、結婚生活にマイナスの影響を与える可能性があります。パートナーの期待に応じようと、過剰なエネルギーをダイエットに費やし、摂食障害や心の病を発症するリスクが高くなります。これまでは見過ごされてきましたが、女性の摂食障害を理解し治療するうえで、外見の面からパートナーとの関係を見直して支援することが大事だと思います」
逆に、妻が夫より魅力的である場合は、結婚がより成功し満足する傾向が高いという。それでは、自分に自信がない妻を持った夫は、どう接すればよいのだろうか。
メルサー助教授がこうアドバイスする。
「そうした女性を助ける方法は、夫が妻に対する愛を再確認することです。『君は美しい』『僕は体重や体型に関係なく、君を愛している』と言い続けるのです。あるいは、『君は優しく親切だ』と別の魅力を強調することもいいでしょう」
さて、女性にとってダイエットのモチベーションに影響を与えるのは男性だけではない。同性の影響も強い。レイノルズさんは最後にこう語った。
「ボディーイメージの研究で興味深い次のステップは、女性が魅力的な同性の友人に囲まれた時に、心理状態やダイエット意識にどんな影響を与えるかです」