岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち 
アメリカ人はいつから銃を持つようになったのか

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NRAもかつては「銃規制」を支持していた

「最初に街で銃を撃ったのは、8歳の時だった。いつも肌身離さず、持っていた。私が育ったのは、犯罪の多いスラム街だったからね。私が教授になるなんて、家族の誰も夢にも思わなかった」

   私が1年間留学したオハイオ州の大学の教授(70代)が、前に私にそう話したことがある。彼は同州北西部に位置する工業都市、トレドの出身だ。

   市民が銃を手に、イギリスから独立を勝ち取ったアメリカ。銃規制反対の根拠になっているのは、合衆国憲法修正第2条だ。そこには、「規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、人民が武器を保有しまた携帯する権利は、これを侵してはならない」と書かれている。

   つまり、専制国家になるのを防ぐには、地域の武装した民兵が不可欠ということだ。これを、民兵を組織する州の権利とする説と、銃を所持する個人の権利とする説がある。

   銃で自分の身を守る伝統は、アメリカ人にとってごく当然のこととして引き継がれてきた。広大な土地に互いに離れて暮らし、警察官や保安官がすぐに駆け付けてくれるような状況ではなかった。

   今では銃器の製造や販売の業者、銃愛好家による圧力団体として知られるNRAは、もともと射撃技術の向上を目的として設立された。1871年の発足以来、その目的は100年間ほど変わることなく、銃規制を支持していた。1934年には米議会でNRA代表が、「銃所持は厳しく制限されるべきだ」と述べている。

   NRAが銃規制反対を声高に叫ぶようになったのは、1960年代以降のことだ。この頃から都市部での銃犯罪が急増。1963年にケネディ大統領、1968年にはキング牧師が銃で暗殺された。銃規制の動きが活発化する一方で、1970年代に入ると、多くの人が自己防衛のために銃を持つようになった。

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