アフリカ大陸南東に位置する島国マダガスカルで、2017年8月23日~9月30日の間にペスト患者が発生し、死者も出ていると世界保健機関(WHO)が発表した。
在マダガスカル日本大使館も公式サイト上で「マダガスカルにおけるペストの流行」を発表。首都でも死亡例が確認されていることから、渡航・滞在を予定している日本人や滞在している現地法人に感染予防や渡航を慎重に検討するよう呼びかけている。
全土で患者73人、うち首都で27人
ペストはペスト菌によって引き起こされる感染症で、菌を保有するネズミなどからノミを介して感染する「腺ペスト」と、咳などで人から人に伝染する「肺ペスト」の大きく2つに分類される。
歴史上度々流行を起こしており、6世紀や14世紀には世界人口の30~50%を死に至らしめたこともある。現在では抗生物質による治療が確立されており不治の病ではない。しかし、肺ペストは適切な治療を受けられなかった場合、発症から24時間で死亡するため、飛沫感染を防ぐためマスク着用などの予防が不可欠となる。
マダガスカルでは1980年代からほぼ毎年腺ペストが流行していたが、今年は肺ペストが流行。WHOによると全土で死者17人を含む肺ペスト患者73人が確認されている。
都市部に感染者が多いのも特徴で、首都アンタナナリボで27人(死者7人を含む)に上る。同市で開催されたバスケットボール選手権に出場していた選手が肺ペストで死亡しており、WHOでは感染者の増大を警戒しているという。
在マダガスカル日本大使館は予防法として、「ネズミが生息しているような不衛生な場所に立ち入らない」「ペスト流行地域に立ち入らない」「外出時のマスク着用、帰宅時の手洗い・うがいの励行」「人混みを避ける」「重い肺炎の症状を示している人には近づかない」「ペスト患者の体液になどに触れない」などを挙げている。