「まだもめる」「生煮え」指摘も
万一、WDの申し立てが認められれば、東芝メモリの売却手続きを白紙に戻さなければならない。そのリスクを誰が負うのかをめぐり各陣営との交渉は難航。最後は、訴訟にかかる費用の一定分を担うとしたベイン主導の日米韓連合との契約で決着したが、訴訟の扱いは詰まっていないようだ。「取引銀行に急かされて、契約を急ぐあまり生煮えの部分も多い」(政府関係者)といい、関係者には「売却完了までにはまだもめる局面があるのではないか」とも懸念されている。
WDが起こした国際仲裁裁判所の審議は10月初旬にも始まる。仲裁裁の結果が出るまで2年程度かかるため、それまでの売却完了を避けようと、WDは審議開始後すぐ、結果が出るまでの手続きの一時中止を申し立てることになりそうだ。日本の裁判でいう仮処分申請のようなもので、この結論は申し立て後3か月程度で出るという。つまり、2018年1月ごろに出る結論で東芝に不利な決定が出れば、売却はストップしなければならない。
ようやく日米韓連合と契約にこぎつけた東芝だが、なお先行きの雲は晴れない状況だ。