課税時期、規模感不明の「腰だめ」構想
その上で次のように述べ、課税の制度を作ることで企業が持っている資金が有効に活用されるようになるとした。
「内部留保課税が実施された後に、課税を避けるために、それを取り崩し、設備投資に回すとか、企業内保育園をつくるとか、そういったことにより有効に活用されるというのは、まさしく内部留保課税の効果というものであって、これらが実際に設備投資に回る、株の配当に回るということは、これまで貯めに貯められたお金が、流動的に動くきっかけになると考えている。それをキャピタルゲイン課税と呼ぶのか、税制によるインセンティブをつけるのかは、工夫のしどころではないか」
だが、この課税構想は「腰だめ」の段階だ。後藤氏は課税開始のタイミングについて
「今の段階で決めているわけではないが、財政との関係は当然考えながら、検討を急いでやらないといけない」
と説明し、小池氏は同日午後の会見で、規模感について
「2%となると6兆円出てくる。そこはやり方。教育費に1%分あてる云々などあるが、具体的にはそういう数値も考え方としてひとつあると思う」
と述べた。
菅義偉官房長官は同日午前の会見で、
「内部留保が今100兆円を超えている。この内部留保ができるようになったのは、まさにアベノミクスによって経済を好転させたからできるようになったのではないか。経済政策をしっかりと行っていく中でまさに経済を安全に成長軌道に乗せることがきわめて大事」
と述べ、内部留保課税の是非については言及しなかった。安倍政権は15年の「官民対話」で内部留保を設備投資に回すように要請し、企業の経営判断に政府が介入したとして財界が猛反発した経緯がある。