全米各地で設置が進む慰安婦像をめぐり、サンフランシスコ市と大阪市の姉妹都市関係が危機を迎えている。サンフランシスコ市内の私有地に慰安婦像と碑文が設置され、設置されているスペースを市に寄贈する話が持ち上がっている。これが実現すれば、結果的に公有地に慰安婦像が設置されてしまうことになる。大阪市の吉村洋文市長はこれに反発し、「単なる日本批判」だと反発。仮に公有地に慰安婦像が設置されれば姉妹都市関係を見直すとする書簡をエドウィン・M・リー市長に送った。リー市長は返信の中で、姉妹都市見直しの検討に「大きな落胆」を表明する一方で、「地域に対して応えていくのが私の責務」だとして寄贈の申し入れを受け入れた結果慰安婦像が公有地に移管される可能性を否定せず、両者の主張は平行線をたどっている。
慰安婦像がある展示スペースが市に寄贈される可能性
慰安婦像は中国系の団体が設置し、2017年9月22日に除幕式が行われた。慰安婦像は公園内の展示スペースにあるが、団体はこのスペースを市に寄贈する方針だ。これを受け、吉村市長は9月29日付で、慰安婦像とともに設置された碑文の記述には
「不確かで一方的な主張があたかも歴史的事実として刻まれた」
ものであるとして、
「歴史の直視ではなく単なる日本批判につながるものではではないかと大いに懸念している」
とする公開書簡をリー市長に送った。その中では、
「私自身、長年培った良好な姉妹都市関係の継続を切に望んでいるが、もしサンフランシスコ市の意思として、公有地への慰安婦像及び碑の移管がなされることになると、大変残念ではあるが姉妹都市関係を根本から見直さざるを得ない」
と警告している。