2017年9月27日に91歳で亡くなった「プレイボーイ」誌創刊者のヒュー・ヘフナー氏について、英国の複数のタブロイド紙が「バイアグラの副作用で難聴になっていた」とこぞって報じている。
ヘフナーさんの恋人だった双子のプレイメイト、シャノン姉妹が「The Sun」紙に「(ヘフナー氏は)聴力よりもむしろセックスすることを選んでいた」と語ったためだ。
バイアグラの副作用といえば血圧の急激な低下が知られているが、本当に難聴も起きる可能性があるのか。
実は10年前から報告されていた副作用
実はヘフナー氏が難聴だったことは知られており、その原因がバイアグラであるという噂は以前からあったようだ。
妻のクリスタル・ハリスさんが2011年に米テレビ番組の中で、「(難聴になってしまうので)バイアグラをこれ以上使用しないようにと言ったことがある」と語っている。かなり重度の難聴だったようで、隣に座って話しかけても聞こえていなかったという。
シャノン姉妹も「片方は正常に聞こえていたが、もう片方は難聴で補聴器がなければ何も聞き取れていなかった」とし、難聴の原因はバイアグラだと話していた。オンライン新聞の「The Independent」紙などもこのニュースを伝えており、関心の高さをうかがわせる。
しかし、調べてみるとバイアグラの副作用で難聴になるというのは衝撃の事実というわけではなく、以前から指摘されていたようだ。現在では添付文書にも発生頻度は不明とはされているものの、「突発性難聴」が明記されている。
きっかけは2007年に米食品医薬品局(FDA)が消費者からの訴えをもとにおこなった調査だ。
勃起不全や肺高血圧症の治療薬として使用されていた「シルデナフィル(バイアグラはファイザーの商品名)」を服用することで年齢や症状に関係なく、耳鳴りや聴覚異常、突発性難聴が生じる例があることが判明。永続的な難聴になる可能性もあるとして、製薬メーカー各社にも調査を行うよう命じたのだ。
その後、米国立衛生研究所(NIH)や英国民保健サービス(NHS)なども調査を行い、シルデナフィルを服用することで突発性難聴を発症すると発表。NIHは公式サイトに掲載しているレポートの中で、
「この薬剤を処方する責任を負う医療従事者の間で、難聴が起こりうるという意識を高める必要がある」
と明記している。