市場調査のインテージが、2017年夏のレジャーの傾向を調べたところ、「国内旅行」や「花火大会・お祭り」などの人気が高いことがわかった。
その背景に、「SNSに投稿することを意識した」という回答が多いことがわかり、今後「SNS映え」が旅行・レジャーの傾向を大きく変えそうだ。
SNS意識は10~20代で4割
インテージは、16歳から59歳の2000人を対象に、「2017年 夏のレジャー消費」調査(9月4~6日実施、21日発表)を行った。今夏に訪れた場所を聞いたところ、「花火大会・お祭り」が26.8%、「国内旅行(宿泊)」が20.1%で上位にあがり、次いで「帰省」(15.4%)や「国内旅行(日帰り)」(14.4%)、「海」(11.0%)、「バーベキュー」(10.8%)、「プール」(10.3%)と続いた。
「今年行きたかった場所」としても、「国内旅行」や「花火大会・お祭り」が上位を占めたが、その動機付けとして、「SNS映え」がある。
「SNSを意識して行きたいと思った」と答えた人は、「花火大会・お祭り」で26.5%。さらに性別や年代別でみると、10~20代女性では約4割にものぼった。この傾向は、性別や年代によらず、40~50代男性でも、「花火大会・お祭り」に行きたいと思った人の約3割が「SNS映え」を意識したと回答している。
また、30代男性の「海」、40代の「テーマパーク」や「国内旅行(日帰り)」でも、SNSを意識した人の割合は高く、幅広い年代で「SNS映え」がレジャー消費に影響を及ぼしていることがわかった。
こうしたSNSの影響は、近年のツアー企画にも反映されている。多くの国内バスツアーを主催している「はとバスツアー」では、パンフレットに「フォトジェニック・コース」という特集を組み、写真映えするスポットをめぐるコースを用意している。
たとえば、10月以降の企画では、千葉県の中の島大橋や江川海岸、川崎の工場夜景などの写真スポットを周遊。ランチには、ウニのスープの海鮮しゃぶしゃぶを食べる、「海鮮ウニしゃぶとフォトジェニック房総」という日帰りツアーを募集している。
このツアーに組み込まれている江川海岸は、千葉県木更津市にある潮干狩りができる海岸で、SNSの投稿がきっかけで、その景観が南米のウユニ塩湖に似ているとテレビでも取り上げられた場所だ。
「濃溝の滝」はツアー参加者1か月平均4.5倍増
はとバスツアーの千葉県・江川海岸のように、インスタグラムやツイッターで広まった、「SNS映え」するスポットを組み込むツアーは、ここ数年、増加傾向にある。
はとバスツアーでは、「まるでジブリ作品にでてくる森のようだ」と、SNSで拡散されて有名になった千葉県君津市の濃溝(のうみぞ)の滝を、2016年からツアーに組み込んだところ大ヒット。人気のツアーとなっているという。
濃溝の滝を組み込んだツアーの参加者は、2016年4~8月の5か月間で400名弱だったところが、16年7月~17年6月の1年間で4300人弱にのぼり、1か月あたりの平均人数で約4.5倍に増えた。
一方、主にシニア層向けのツアーを企画している「クラブツーリズム」でも、この濃溝の滝や「モネの池」と呼ばれる岐阜県関市の根道(ねみち)神社そばの池を、2016年からツアーの行き先の一つに組み込んできた。濃溝の滝とともに、根道神社の「モネの池」はツイッターで写真が投稿されると、クロード・モネが描いた名画「睡蓮」のようだとSNSで急速に広まり、一躍多くの観光客が訪れる人気スポットになった。
クラブツーリズムは、「メディアで取り上げられ、話題になったこうしたスポットをツアーの行き先の一つに組み込むことで、お客様に目新しさを感じていただいています」と話している。
瞬く間に多くの人々に拡散して、新たなトレンドをつくっていくSNSの影響は、これからもますます大きくなることが予想され、今後のレジャー動向にも目が離せなくなっている。
(ライター・戸川明美)