朝ご飯をしっかり食べることが健康につながるとよく言われるが、朝食を抜いている人は食べている人に比べ、動脈硬化を発症するリスクが約2倍高くなるという研究がまとまった。
米国心臓病学会の研究班が学会の機関誌「Journal of the American College of Cardiology(JACC)」(電子版)の2017年10月2日号に発表した。研究者は「いつも朝食を抜いている人は、生活スタイルが全般的に不健康」と指摘している。
朝食を抜くと肥満度、血圧、血中脂質が軒並み悪化
世界保健機関(WHO)によると、心臓病は世界の死因のトップで、2015年には年間1770万人が死亡している。日本では、心臓病(15.2%)はがん(28.7%)に次いで死因の2位だ(2016年、厚生労働省調べ)。
JACC誌の論文によると、研究班はスペインの企業の協力を得て、40~54歳の中年男女社員約4000人を6年間にわたり追跡調査し、朝食と心臓病の関係を調べた。通常の疫学研究なら、調査期間中に心臓病を発症した人数と、朝食を食べるかどうかの関連を調べるケースが多いが、この研究では、対象者の肥満度や血液検査を行ない、心臓病になる以前の兆候を詳しく調べたことが特徴だ。
研究班は参加者を次の3つのグループに分けた。
(1)1日のカロリー摂取量の20%以上を朝食でとる人(しっかり朝食を食べている人)=約27%。
(2)1日のカロリー摂取量の5~20%未満を朝食でとる人(軽く朝食を食べている人)=約70%。
(3)1日のカロリー摂取量が5%以下の人(朝食をまったく食べないか、ほとんど食べない人)=約3%。
そして、参加者全員の胴回り、肥満度を示す体格指数(BMI)、血圧、血中脂質、空腹時血糖値などを検査した。また、参加者のカラダを超音波装置でスキャンして、心臓病の早期兆候とされる動脈内の脂肪性沈着物の割合を調べた。その結果、朝食をしっかり食べる人ほど健康的だった。朝食抜きの人は、胴回り、体格指数、血圧、血中脂質、空腹時血糖値の数値が最も高かった。特に、動脈硬化の前兆を示す「動脈内の脂肪蓄積量」が、朝食をしっかり食べる人に比べ、平均で2倍以上高かった。