「希望の党」立ち上げで衆院選に向けてロケットスタートを切ったかに見えた東京都の小池百合子知事が、早くも失速気味だ。「大義」がはっきりしない解散で内閣支持率は下落し、結党の「ご祝儀」効果もあって比例区の投票先に「希望」を挙げる人も増えつつあるが、それが「小池首相」につながるかどうかは別問題だ。
与党からは小池氏が衆院議員に復帰すべきだとの声があがるが、世論調査では否定的な声が多い。仮に衆院議員に復帰したとしても、衆院選後の首班(首相)指名で小池氏が選ばれるかも微妙だ。「最側近」とされる「希望」の若狭勝氏は小池氏が衆院選に出馬しないとの見方を示している。このまま「顔」が見えない選挙戦に突入する可能性もありそうだ。
確実に政権交代できる状態でないと小池氏は衆院選出ない?
衆院解散直前の9月23、24日に共同通信社が行った、衆院選に向けた「第1回トレンド調査」で比例代表の投票先の政党を聞いたところ、自民党が27.0%、後に「希望の党」になる「小池百合子東京都知事の側近らが結成する新党」は6.2%だった。これに対して解散後の9月30日、10月1日に行った第2回調査では、自民党が24.1%で、希望の党が14.8%だった。
第1回調査では内閣への支持率は45.0%、不支持率は41.3%だった。第2回調査では逆転し、支持率40.6%、不支持率46.2%だった。「希望」への期待感は高まっていることはうかがえる。
だが、問題なのは衆院選後の首班指名だ。10月1日朝にNHKで放送された「日曜討論」では、小池氏が衆院選に出馬して選挙戦の構図をはっきりさせるように求める声が与党幹部から相次いだ。こういった声に対して、若狭氏は
「今回の選挙の時に(小池氏が)国政に戻るかと言えば、私個人の意見としてですが、おそらく選挙には出ないのではないかという風に私は思っている」
「今回の選挙において、確実に政権交代になるという見通しがあるのであれば、確かにそこで小池代表が国政に出ることもあり得るとは思うが、今、それこそ色々と我々の方で調整中の話もあるが、それを踏まえて言うと、次の次、ぐらいの時に確実に交代できるような議席数にまで達するという思いでいるとすれば、今回の選挙の際に代表が選挙に出るということでなくも構わない」
と述べた。
単独過半数の233人擁立できるかは未知数
今回の衆院選では政権を獲得できないので小池氏は出馬しない、ともとれる発言だ。若狭氏は
「今回(政権を)目指さないと断言しているわけではない。候補者の数の問題」
とも述べて予防線を張ったが、単独過半数になる233人の候補者擁立の見通しについては
「資質のない人を誰でも候補者として擁立するわけにはいかないので、その辺はきちんと見極めなければ国民に対して失礼」
と述べるにとどめ、明言を避けた。
「小池人気」の維持には、今後大きく2つのハードルがありそうだ。読売新聞が9月28~29日に行った電話世論調査では、小池氏の「希望」代表就任の是非についても聞いている。この問いに対して「都知事を辞職して、衆議院選挙に立候補すべきだ」と答えた人は12%だったのに対して、「今のまま、希望の党の代表と都知事の兼務を続けるべきだ」が21%。最も多かったのが「都知事の仕事に専念すべきだ」で62%だった。
このような状態で仮に小池氏が衆院復帰を図れば世論からの逆風は確実だ。仮に衆院議員に復帰し、何らかの手段で世論からの支持を回復したとしても、その次の首班指名も小池氏にとってはハードルだ。前出の共同通信の第2回トレンド調査では、安倍氏と小池氏のどちらが次期首相にふさわしいか聞いたところ、安倍氏45.9%に対して小池氏33.0%。仮に小池氏が衆院選に出馬したとしても、このままでは「次期首相」としての期待感は薄いと言える。