女優の黒柳徹子さん(84)が、右足の大腿(だいたい)骨を骨折した。自身のインスタグラムで「1か月前に足を骨折してしまい、手術を受けました」と明かしている。
加齢とともに、足の付け根にあたる大腿骨頚部を骨折する女性は増える。70代以上の高齢者は、ちょっとしたつまづきにも注意したい。
40代以上の大腿骨頚部骨粗鬆症は女性が3倍多い
黒柳さんは、主演舞台の稽古に車椅子で登場した。骨折の理由は明かしていないが、2017年9月29日放送の情報番組「ビビット」(TBS系)で「転んでしまったか」と問われてうなずきつつ「ぶつけてしまったというか...」と話していた。
日本整形外科学会のウェブサイトによると、大腿骨頚部骨折は、骨粗鬆(しょう)症で骨がもろくなった高齢者に多発する。日本国内では年間十数万人を数え、「多くの方が骨折を契機に寝たきり、閉じこもりになってしまうので社会問題となっています」と指摘している。
多くの専門医により作成された「骨粗鬆症ガイドライン2015」によると、国内の40歳以上の大腿骨頚部の骨粗鬆症患者数は推定で、男性260万人、女性810万人となり、女性が男性の3倍強だ。女性の発生年齢を見ると、70代で急増する。
「ビビット」でMCを務める女優の真矢ミキさん(53)は、80代前半の実母が大腿骨頚部骨折になったと番組で明かした。しかも転倒したのではなく、高さにして30センチ程度の尻もちだったそうだ。「普通に座ったら『あら、動かない』」と、当時の母親の状況を語った。
医療機器メーカー「テルモ」のサイトにも、「大腿骨頚部骨折は、とくに高いところから落ちたりしなくても起こります」とある。「立った位置からの転倒」による骨折が、実に7割を超えるのだ。家の中のちょっとした段差につまづいて転び、骨折というケースもあり得る。
カルシウムにビタミンDとK摂取を
骨粗鬆症の予防について、骨粗鬆症財団のウェブサイトに書かれている。食事での摂取が推奨されるのは、カルシウムとビタミンDだ。カルシウムは乳製品や大豆製品、小魚、緑黄色野菜、海藻に多く含まれている。日本人はタンパク質や糖質、脂質、ビタミンCは十分過ぎるほどとっている半面、カルシウムだけは不足していると指摘している。
アステラス製薬のサイトには、具体的な食品名と目安量が載っている。1日のカルシウム摂取目標量は700~800ミリグラム。牛乳200グラム当たりには220ミリグラム、豆腐半丁(150グラム)に180ミリグラム、干しエビなら10グラムで710ミリグラム含まれている。
カルシウムはビタミンDが吸収を助ける。1日に必要なビタミンDは400~800IU(IUはビタミンなどの量を表す単位)だ。キクラゲ1グラム当たり176IU、サケ1切(60グラム)に768IU、サンマ1切(60グラム)なら456IUが目安となる。また骨粗鬆症対策には、ビタミンKも必要だ。納豆や小松菜、ホウレンソウといった食品を食べるとよい。
骨粗鬆症財団によると、カルシウム摂取と同じくらいに大切なのが運動だ。「運動で骨に力がかかると、骨に弱いマイナスの電気が発生し、カルシウムを呼び寄せるから」という。骨を作る細胞の働きを活発にする、転倒しにくい体づくりを促進する、という効果も期待できる。