NHK受信料支払い組は「当面無料」 「ネット同時配信」めぐる攻防

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

民放は反発

   NHKにとって同時配信は、受信料未払い世帯から受信料を集める道が開ける。若者の間でテレビ離れが進んでいることもあり、積極的だ。BBCがロンドン五輪を見据えて同時配信を始めたことを例に挙げ、2020年東京五輪を前に実現に邁進したいところだ。NHKが2月に設置した有識者会議は7月、同時配信の必要性を認める答申をまとめた。これを受けてNHK内で手法などを詰めた結果が9月20日の「当面無料方針」の表明だ。テレビ受像機を持たないネットのみの視聴者への課金については結論を先送りしたが、NHK内部では、将来的に放送と同水準の受信料徴収を目指している。

   民放にとってもネット配信は無視できないジャンルだが、テレビ放送と同じ番組を同時配信して課金することは、視聴率に応じた広告収入で稼ぐ従来のビジネスモデルと相いれない。日本テレビ放送網が「24時間テレビ」を続けているのは、視聴率が良いので広告収入を稼げるからだ。といって課金をあきらめてネット配信に挟む広告で稼ごうとしても、その広告収入はテレビ放送よりはるかに低いため設備投資の割に収入が上がらない、というわけだ。

   もともと日本の民放は新規参入の難しい規制に長年守られて「ぬるま湯」につかってきたため、米国のような競争に向かう気力体力はないという面もある。地方の民放ともなればなおさらだ。それだけに、NHKが「放送と通信の融合」に歩を進めるのは民放として困るわけだ。日本民間放送連盟の井上弘会長(TBSテレビ名誉会長)は、9月21日の記者会見で「スケジュール優先だ」とNHKを批判し、NHKがネット課金の議論を先送りしたことなどに説明を求めた。

   日本の場合、著作権管理が海外諸国より複雑という点も同時配信に向けた課題。政府・与党内には民放経営に影響が大きいことから慎重な意見も根強い。2018年度の法改正、2019年度実施というスケジュールがNHKの思惑通りに実現するかどうかは見通せないのが実情だ。

1 2
姉妹サイト