家事が心血管疾患を抑制 ジム通いと同程度の健康効果が期待できる

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   定期的な身体活動が心血管疾患(CVD)を始めさまざまな病気のリスクを下げることはよく知られている。

   どの身体活動が効果的なのか検証した研究もあり、ジムに行く、ランニングをする、球技が良いなどさまざまなスポーツやフィットネスを推奨するものが多い。では、リスク抑制効果が期待できるのはこうしたレクリエーション的な身体活動だけなのだろうか。

   体を動かす労働や家事では意味がないのか、英国やカナダ、インド、パキスタン、中国、イラン、スウェーデン、ポーランド、ブラジルなどによる国際共同研究チームが検証に取り組んだ。

  • 運動嫌いは家事をしよう
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スポーツやフィットネスは高コスト

   研究のきっかけとなったのは、病気のリスク抑制のために推奨される身体活動の内容が高所得国向きのものばかりで、低所得国の状況を加味していないのではないかという疑問だ。

   ジムに通うにも、何らかのスポーツを始めるにもそれなりにコストが必要になり、誰もが取り組めるものではない。その反面、日常生活の中で生じる作業や家事は誰もができる身体活動だ。

   どちらも同じ身体活動ならば、効果にも差はないのではないか。そう考えた共同研究チームは、カナダのマクマスター大学が高所得国(カナダ、スウェーデン、アラブ首長国連邦)、中所得国(アルゼンチン、ブラジル、チリ、ポーランド、トルコ、マレーシア、南アフリカ)、低所得国(バングラデシュ、インド、パキスタン、ジンバブエ)を対象に2005年から実施している追跡調査「PURE(Prospective Urban and Rural Epidemiological Study)」から、CVDを発症していない35~70歳までの13万843人のデータを分析した。

   分析内容は健康状態や生活習慣に関する質問表のほかに、日常生活中の身体活動の状態を調査する国際的な指標「国際標準化身体活動質問票(IPAQ)」にも回答してもらい、平均6.9年間追跡。心筋梗塞や心不全、脳卒中の発症率との関係を評価している。

   分析の結果わかったのは、ジムやスポーツをすることと同レベルの家事や作業をすることに差はなく、CVDリスク抑制効果は同じという事実だった。

   例えば家の掃除程度の身体活動を1日約30分1週間毎日実施した場合、1週間に150分のフィットネスやスポーツを実施したのと同程度の効果があり、一切身体活動をしてない人に比べCVDリスクは22%低下していた。

   食料品の買い出しや調理、掃除、洗濯などそれなりに体力を使う複数の家事を組み合わせ1週間毎日こなしている場合、フィットネスやスポーツを1週間に750分行ったのに匹敵する効果が表れていたほどだ。

   家事や作業の内容がハードで長時間になるほど効果は上昇しており、研究チームは、

「身体活動の内容に関係なくCVDリスクは低下しており、スポーツやジムの会員権を購入しなくても低コストで中長期的に死亡率やCVDを減らすことができる」

と語っている。

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