地方の「定員割れ」私大 文科省新施策で救われる?

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小池百合子都知事も反対

   政府は大学について、地方創生の観点から重視しており、定数だけでなく、補助金も活用した施策を検討している。文科省などが2018年度予算の概算要求に、新たな交付金導入を盛り込んだ。具体的には地方の国立・私立大と東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県の大学との単位互換制度の導入を支援。首都圏の大学に通う学生が最後の1~2年は地方の大学に通うといった地方での生活体験を経て、首都圏出身者が地方に移り住んだり、上京した学生が帰郷したりするなどで地方への人の定着を図る狙いだ。地域経済の特性に合わせた学部の新設への補助なども検討する。

   こうしたアメだけではない。財務省は定員割れが続く私立大学に対し、国からの補助金を減額・停止することを検討している。現在は教職員や学生の数などに応じて機械的に計算される仕組みで、教育の質や人材育成の成果などが反映されないとの指摘があることから、定員割れが続く私大は補助金を減額する一方、就職率が高い大学などには補助金を増やすなどが候補に挙がっている。経営改革を促すとともに、大学の再編につなげる狙いもある。

   23区内の定員抑制に対して日本私立大学連盟は9月7日、文科省に意見を出し、「私立大学が新規分野の教育によって新たな人材を育成することを禁止するに等しい影響をもたらす」と反発している。

   東京都の小池百合子知事も反対に動く。9月4日に梶山弘志・地方創生相、11日には林芳正文科相を訪ね、定員増加を認めないとした政府方針の撤回を求める要望書を提出。23区長でつくる特別区長会も8月29日、梶山地方創生相と林文科相に要望書を出し、「国の将来を担う若年層の進路選択の機会を狭め、交流を通じた多様化の機会を奪う」と反発している。

   23区では街づくりの核として大学誘致が位置付けられるケースも多い。例えば江戸川区は区立学校跡地への大学誘致を検討しており、青森大学を運営する青森山田学園などと協議している。墨田区も、新拠点開設の構想を表明した千葉大の予定地に隣接する区立学校跡地を候補に、他の大学の誘致を目指しているといった具合だ。このほか、東洋大学が2017年4月に開設した赤羽台キャンパス(北区)を増強し、21年4月に朝霞キャンパス(埼玉県朝霞市)から学部を移す計画があり、こうした大学独自の動きも含め、特別区長会は、すでに計画・調整中の案件への配慮も求めている。

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