地方の「定員割れ」私大 文科省新施策で救われる?

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   文部科学省が、東京23区内の私立大学の学生の定員増を認めない方針を打ち出し、波紋を呼んでいる。若者の東京一極集中を是正しようという狙いだ。既に施設整備など準備を進めている大学などは例外とするが、大学側や東京都、23区は強く反発している。2017年9月29日には、文科省が定員増を原則認めないとする告示を出した。

   2017年度の学校基本調査(速報値)では、23区内の大学に通う学部生は約46万3000人(うち私大は約43万6000人)と、全国の約18%が集中し、なお増勢が続いている。その一方で、地方では定員割れに苦しむ私大が少なくない。

  • 地方大学の定員割れは改善に向かうのか(写真はイメージ)
    地方大学の定員割れは改善に向かうのか(写真はイメージ)
  • 地方大学の定員割れは改善に向かうのか(写真はイメージ)

反発に配慮して、経過措置も

   この問題を巡って、政府の「まち・ひと・しごと創生会議」が2017年5月、「東京都の大学収容力が突出して高く、このまま定員増が進むと地方大の経営悪化や撤退を招きかねない」として、今後23区で定員増を認めないとする報告を出したのを受け、6月に23区内の定員増を抑える基本方針を閣議決定。「23区では大学の定員増は認めないことを原則とする」と明記し、「直ちにこうした趣旨を踏まえて対応する」とした。

   これを受け文科省が打ち出した方針は、当面、2018、19年度について23区内の定員増を認めないというもの。学部を新設するのが不可能ではないが、その場合は、その分、既存学部の定員を減らす必要がある。

   ただ、同じ学部でも学年ごとに23区内外にキャンパスが分かれる様なケースもあり、ケース・バイ・ケースで判断することになりそうだ。また、反発に配慮して、経過措置も設けた。定員増に向けて校舎や施設の整備を2017年6月までに決めていたら、18年度は定員増を容認。19年度も、17年9月までに施設整備を決めてホームページなどで公表した場合などは、学部新設も含めて認める――などだ。

   文科省は毎年3月と6月に、翌年4月の学部や学科の新設と合わせて定員増の申請を受け付けている。申請を受け、2018年度については大学設置・学校法人審議会が6月、私立大47校5701人増を認める答申をした。このうち23区内の12校が約4割の2183人分を占める。ただし、23区分については申請時期を6月から10月に延期し、事実上、先送りしている。

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