これは、どう見ても「ステーキ」とは言えないのでは――。国内最大のゲーム見本市「東京ゲームショウ」(TGS)の飲食ブースで販売されていた「ステーキカレー」の購入客の一部から、こんな嘆きの声が上がっている。
購入者の一人がツイッターに投稿した商品の写真を見ると、確かに、カレーに添えられているのは「細切れ肉」のように見える。いったい、何があったのか。販売業者に聞いた。
値段は1皿1500円
今年のTGSは、2017年9月21日から24日にかけて幕張メッセ(千葉市)で開催された。これは国内外のメーカーなど600社余りが、最新ゲーム機やソフトなどを揃えたブースを出展するイベントだ。主催者側の発表によれば、4日間の総来場者数は25万4311人に及んだという。
会場には飲食ブースも用意され、複数の事業者がラーメンや唐揚げなどのフードメニューを販売していた。いまネット上で問題視されているのは、このブースで販売されていた「ステーキ黒カリー」(税込1500円)という商品だ。
イベント最終日にこのカレーを購入した客の一部から、ツイッター上に、
「これちょっと酷くないですか」
「ステーキと言うか蒸した肉」
「注文間違えたかと思いました」
といった苦情が続々と寄せられたのだ。
実際、購入者の1人は24日のツイートで、購入した商品の写真を投稿している。この写真を見る限り、カレーに添えられているのは、一般的にイメージするステーキとはかけ離れた薄くて焼き目もない肉だ。
このユーザーはさらに、「ステーキ黒カリー」販売ブースに掲げられた商品のイメージ写真もあわせて公開している。こちらには、綺麗な焼き目のついた分厚いステーキ肉が乗ったカレーの写真が大きくプリントされているのだ。
こうした「イメージ写真」と「実物」の落差に驚いたネットユーザーは多かったようで、ツイッターやネット掲示板には、
「ステーキどころか明らかにバラ肉ですし悪意有りますねこれ」
「返金を要求するレベルですね...」
などと問題視する意見が相次いで寄せられることになった。
「見た目は蒸した肉みたいだった」
実際、イベント最終日の14時過ぎに問題の「ステーキカレー」を購入したという20代男性は25日のJ-CASTニュースの取材に、
「広告看板のようなステーキ肉ではなく、私の場合はバラ肉がすでにカレーの中に混ぜた状態で出てきました」
と振り返る。
また、同じく最終日の午後に購入したという40代男性も取材に、「トッピングは薄いお肉で、焼き目は見えませんでした。見た目は蒸した肉みたいだった」としていた。
どちらの購入者も、店員からは商品を購入する前に材料変更などの説明は受けていないという。また、40代の男性は商品を受け取った際に、「これで1500円取るのか?」と感じてしまったそうだ。
一方で、ツイッター上には、同じ商品を購入したが「分厚いステーキ」が出てきた、との報告も見られる。写真も複数枚投稿されているが、それを見ると確かにイメージ写真と全く遜色のないステーキ肉のように見える。
販売業者「お詫びの気持ちでいっぱい」
これは、一体どういうことなのか。J-CASTニュースが、問題のカレー販売ブースを出展していた「L.B.Market」(名古屋市)の担当者に話を聞くと、薄い肉が乗った「ステーキカレー」を販売していた事実を認めた上で、その事情を次のように説明した。
まず、「細切れ肉」のようなトッピングが乗ったカレーを提供したのは、イベント4日目のこと。理由は用意していたステーキ肉が欠品したため。すぐに担当者が代用品を探しに近くのスーパーに向かったというが、そこでは適切な材料が見つからなかったという。
そこで現場の担当者が目を付けたのは、L.B.Market がTGSに同時出展していた「牛ステーキ丼ブース」だった。つまり、そこで使っていた「うす切り」のロース肉を、代用品として使うことに決めたというのだ。
同社が販売していた牛ステーキ丼はブランド和牛の肉を使ったメニューで、もともと用意していたカレー用のステーキ肉よりも高価だという。そのため、
「こちらとしては、より良い食材を提供することでお客様にも満足して頂けると考えていました」
と担当者は振り返る。その上で、今回「ステーキには見えない」との批判が出たことについては、
「とはいえ、現場でのアナウンス不足もあり、結果として購入した皆様をガッカリさせてしまいました。飲食のプロとして今回の件は純粋に反省していますし、お詫びの気持ちでいっぱいです」
と話していた。