現時点では衆院選出馬に否定的な東京都の小池百合子知事(「希望の党」代表)をめぐり、菅義偉官房長官が2017年9月29日の記者会見で、「(小池氏が国政に)出てくるんじゃないかと思っている」と述べ、衆院議員に復帰するとの見方を示した。
小池氏が衆院選で「選挙の顔」となる一方で、都知事のままでは衆院選後の首相指名(首班指名)で「希望」メンバーは小池氏の名前を書くことはできない。こういった背景から衆院議員復帰説がくすぶり続けており、早くも関心は「どこから出馬するか」に移っている。
「まあ小池さんも昨日はいろんな『出ない』とか言ってますけど...」
小池氏が国政復帰を一応は否定する中、菅氏は記者会見で、仮に「希望」が政権を取ったとしても、現状ではその「顔」が誰になるのか明らかではないことを指摘。結局は小池氏は衆院選に出馬するとの見方を示した。
「政権選択選挙って皆さん書いてますけど、まあどなたがその主翼になるか触れられていなんですけれども、まあ小池さんも昨日はいろんな『出ない』とか言ってますけど、ただ多くの皆さんは、小池さんが出てくるだろうと、みんな思ってるんじゃないですか?私は出てくるんじゃないかな、と思ってます。」
その上で次のように述べ、小池氏に対して自らの立ち位置を鮮明にするように求めた。
「まあ堂々と、そこを宣言してですね、まさに真正面から政策論争をやるということは、きわめていいことだと思ってます」
小選挙区で勝てない海江田万里氏 & 菅直人氏が標的か
すでに「どこから出るか」にも話題は及んでいる。小池氏が衆院議員時代に地盤にしていた東京10区は、「希望」の若狭勝衆院議員が引き継いでいる。そのため、小池氏が若狭氏を押しのけてまで「出戻る」可能性は高くない。一方、ツイッター上では、10月5日の都議会本会議終了後に衆院選出馬表明を検討しているという指摘もあり、有田芳生参院議員は9月28日午前、
「東京1区か18区を検討しているといいます」
と返信した。東京1区は12年、14年と海江田万里元代表が出馬したが連敗。12年は重複立候補していた比例東京ブロックで復活当選したものの、14年はそれすらならなかった。18区からは菅直人元首相が出馬。やはり小選挙区では連敗し、2回連続で比例復活している。
リベラル派「排除されないということはございませんで、排除いたします」
今回の衆院解散を受けて行われる総選挙では、民進党の候補予定者は全員が離党し、希望者は「希望」に公認申請することになっている。ただし、小池氏は9月29日の会見で、
「(民進党『リベラル派』が)排除されないということはございませんで、排除いたします。というか、取捨じゃないですね、絞らせていただくということです。それはやはり安全保障、憲法観が、根幹が一致していることが、政党を構成する上で構成員として必要最低限のことではないか」
と述べ、公認申請しても拒否されるケースがあることを明言。これに加えて、「希望」の細野豪志衆院議員は28日夜、
「三権の長を経験された方については、ご遠慮いただいた方がいいのでは」
と述べた。
海江田氏や菅氏では小選挙区で勝てる可能性が低く、わざわざ「希望」の公認候補として出馬させるメリットは小さいとみられる。そういった中で、小池氏のような「勝てる」候補を投入する可能性がある、というわけだ。
海江田氏が「希望」に公認申請するか、「希望」の公認が得られるかは現時点では明らかではない。一方の菅氏については、細野氏の方針が変わらなければ「希望」から出馬する可能性は皆無。無所属での出馬を余儀なくされるが、過去2回の選挙の結果を踏まえるとこのまま議員生活を終える可能性が高い。