首相を縛る国会が変わらない限り出馬なし? 小池氏がめざすのは首相公選制→大統領か

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   小池百合子都知事は、衆院選に出るのか、出ないのか。「首相」の座を狙う以上、出馬は不可避、との見方が強まる中、一つの可能性として残るのは、小池氏が「首相公選制」の導入を目指すというシナリオだ。

   「私は今の国会が変わらない限り、都政でしっかり頑張る」――28日午後、都内の日本記者クラブで会見した際、小池氏はこんな発言を残した。

  • 小池氏、真の狙いは?(28日、日本記者クラブでの会見)
    小池氏、真の狙いは?(28日、日本記者クラブでの会見)
  • 小池氏、真の狙いは?(28日、日本記者クラブでの会見)

国会を変えてから首相を目指す?

   「出馬否定」としてメディアにも大きく取り上げられたこの言葉だが、実は小池氏はその直前に、こうも語っていた。

「誰であれ、総理になった人は苦労されてきたと思う。総理大臣が国会に対して直接質疑にこたえるというのは、他の国にない形だと思う。こういう形で行政トップの総理大臣を、『縛る』というと国会軽視と言われるので言葉は選ぶが、異様に日本の総理大臣は大変だと思う」

   小池氏は「今の国会」がどう変われば、判断を改めるのか明言していない。だが、この言葉からは、首相を「縛る」国会(そして国会に「縛られる」首相)のあり方を、小池氏が快く思っていないことはうかがえる。

   国会に縛られない、強いリーダーシップを持つ首相――となると、事実上の大統領制ともされる「首相公選制」が思い起こされる。

   実は小池氏は、かなり以前から首相公選制をめぐる議論にかかわってきた。

17年前、田中真紀子氏らと「公選制」議論

   2000年9月、小池氏はひとつの「合宿」に参加している。当時絶大な人気を誇り、「初の女性首相」No.1候補だった田中真紀子氏を中心とした「新しい日本をつくる超党派会議」だ。当時48歳、少数野党・保守党のメンバーだった小池氏をはじめ、各党の若手が集まったこの会で、メインテーマとして議論が交わされたのが「首相公選制」だった。当時の新聞記事(産経、9月9日付朝刊)によれば、「問題は実行力。仕事のできる内閣を作るためにも、大統領制のような公選制の導入を」など、公選制を支持する意見が相次いだという。

   小池氏自身が、この場でどう発言したかは詳らかではない。しかしその8年後、自民党総裁選への出馬直後に出版した『もったいない日本』(主婦と生活社、2008年)では、「強いリーダーシップのため、首相公選制の再議論を」と題した一節を設け、

「リーダーシップを論じる際、日本の政治リーダーである首相を選ぶ過程も再考する必要があります」
「国民多数の意思を受けて就任することになれば、首相の地位は現在よりも強化されます。派閥の論理や与党内の都合が優先されることもなく、また、国民の政治参加の道も今よりずっと開かれたものになるでしょう」

と公選制のメリットを解説、こう明言する。

「私は、国体として天皇陛下の存在は揺るぎがないものとしながらも、日本の持続可能な発展のためには、首相公選でギアチェンジする必要があると考える一人です」

若狭氏の政治塾でも「首相公選」問う

   希望の党が2017年9月27日発表した「綱領」などには、首相公選制などへの言及はない。しかし、側近とされる若狭勝・衆院議員が「輝照塾」の参加希望者に課した「政治志向」テストに、「首相公選制の導入」への賛否を問う項目があったと報じられている(読売新聞、8月19日付朝刊)。小池氏や周辺が首相公選制、そしてこれによる大統領型の「強いリーダー」誕生に意欲を見せていることは確かだ。

   なお首相公選制の導入には、憲法改正が必要となる。2002年、小泉政権時代にまとめられた「『首相公選制を考える懇談会』報告書」では具体的な選挙手順案として、一定数の国会議員の推薦を受けることを立候補資格とし、国民が首相・副首相候補に直接投票を行う、という米大統領選に近いシステムが提示されている。

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