ありそうでなかったものに、熱燗(あつかん)専用の日本酒がある。
酒造大手の日本盛は2017年9月29日、業界初のホット販売専用の日本酒「燗酒(かんざけ)180ミリリットルボトル缶」を10月2日から全国のコンビニや駅ナカ売店で販売すると発表した。
日本酒は高温で保存するとイヤなニオイを出す
日本盛の発表資料によると、以前より「日本酒のホット販売」を希望するニーズがあった。しかし、コーヒーやお茶の缶はコンビニ店などの「飲料用の加温器ケース」の中に長期間置いても品質は変わらないが、日本酒は高温状態を続けると、著しく品質が劣化する欠点がある。「老香」(ひねか)と呼ばれる日本酒特有の劣化臭が発生するのだ。「老香」は紹興酒のニオイをさらにきつくしたニオイといわれ、好き嫌いが分かれる。このため、長期間の加温に耐え得る「日本酒のホット販売」は実現不可能というのが日本酒業界の常識だった。
日本盛では、約6年間の歳月をかけて研究を重ね、実現不可能といわれたホット販売可能な日本酒の商品化に成功した。開発のポイントは次の2点だ。
(1)酒類総合研究所との共同研究で、「老香」を発生させにくい酵母の開発に成功した。
(2)日本盛独自の仕込み技術で、連続加温しても風味と香りが変化しにくい酒質の開発に成功した。
新商品はこれからの寒い時期、「飲みたい!」と思った時に、すぐにコンビニや駅ナカ売店でじんわりと熱い燗酒を楽しめる。