成長した個体ならテーザー9台分
40~50ミリアンペアという電流自体は、それほど大きな威力には思えないかもしれない。しかし、国際電気標準会議が公表している感電時の人の反応を示した「人体反応曲線図」では50ミリアンペアの電流が3秒、50ミリアンペア以上なら1秒で心室細動が生じて死亡する恐れがあるとされている。
カターニア氏がユーチューブ上で公開している実験映像でも、デンキウナギが触れた瞬間に腕を引き上げており、「痛みを感じてから4~5テンポ遅れて腕を反射的に出してしまった」とコメントしていた。思わず逃げてしまうほどの痛みは感じるのだ。捕食者に対してもかなりのショックを与えているのではないだろうか。
今回の調査では全長40センチほどの比較的若い個体で調査を行っているが、成長しきった個体は2~3メートルに達し、与える電気ショックも一桁変わると考えられるという。
ヴァンダービルト大学のプレスリリースではこう説明されていた。
「若いデンキウナギの個体から受ける電気は、牧場で偶然家畜用の電気柵に触れた程度ですが、成長した個体であればテーザー銃(肌に電線を刺すスタンガン)9台に撃たれた衝撃に達するでしょう」
南米を訪れる際は、デンキウナギを怒らせるような真似だけはしないほうが良さそうだ。