「味覚障害」はストレスも引き金に パワハラきっかけで味が感じられなく... 

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薬の副作用で亜鉛が不足し...

   海原さん(仮名、83)は2年半前、大好きな和菓子を食べている時、何も味がしないと気付いた。

   その後の食事で摂った、イワシの塩焼きと巻きずしも全く味がしなかった。「何の味もないものを食べられない」と食べ物を受け付けなくなり、次第に食べる量が減って、1か月で体重が7キロも減少した。何も食べず、水だけ飲んでいる日もあったという。

   夜中にふと目が覚め、塩や砂糖などの調味料をなめてみたら、全て味がしなかったことで病気と自覚した。耳鼻咽喉科を受診し、味覚障害と診断された。

   原因は「亜鉛不足」だった。

   亜鉛は味蕾の新陳代謝を助ける役割があるので、不足すると古い味蕾ばかりになって機能しなくなり、味覚障害が起きる。

   海原さんの亜鉛不足の理由は、高血圧のために処方されていた降圧薬だった。

   降圧薬をはじめ、抗ウイルス薬、抗精神病薬、抗がん薬、抗アレルギー薬、糖尿病薬など、100~200種類の薬に、亜鉛をうまく吸収できず便と一緒に排泄してしまう副作用がある。

   海原さんは「亜鉛製剤」という薬を処方されたほか、毎日自分で血圧を測るよう勧められた。薬を飲まなくても血圧の値が安定していたとわかり、降圧薬をやめたところ、2か月ほどで徐々に味覚が回復。半年後にはこれまで通りに食事が楽しめるようになった。

   「あっという間に7キロ太りました。元に戻った」と笑う海原さんだった。

   海原さんは降圧薬を飲む必要がなくなったが、味覚障害になってもほかの病気が治っていない場合、原因となった薬の服用を勝手にやめるのは危険だ。治療法は医師とよく相談しよう。

   亜鉛を多く含む食べ物は、貝のカキ、牛肉、豚レバー、チーズ、卵黄、ゴマなど。欠乏を防ぐため、普段の食生活に意識して取り入れよう。ビタミンCや動物性タンパク質と一緒に摂ると、効率的に吸収される

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