ダンス・ボーカルユニット「TRF」のDJ KOOさん(56)が、脳動脈瘤の手術をしていたと、所属事務所のエイベックスが2017年9月25日にウェブサイトで明らかにした。
テレビ東京の番組「主治医が見つかる診療所」の収録で知らされた。破裂の恐れが出る基準のサイズである5ミリを大きく上回る8ミリと診断され、手術を決意したようだ。
脳神経外科医が破裂の危険性を指摘
エイベックスの発表によると、DJ KOOさんは9月2日収録(25日放送)の「主治医が見つかる診療所」で脳動脈瘤の事実を知り、札幌禎心会病院にて手術、21日に退院したという。現在は自宅で療養中だ。
番組でDJ KOOさんは、初めてMRI(核磁気共鳴画像法)検査を受けた。画像には、左目側の血管に異様なふくらみが写っていた。これが脳動脈瘤だ。番組の医師で脳神経外科医の上山博康氏は、こう話した。
上山氏「見つかってラッキーだったとお考えください」
複数の医療機関がサイトで、脳動脈瘤について説明している。このうち東京大学脳神経外科によると、高血圧や動脈硬化、家族性の原因が示唆されているが要因の不明なものが大半だという。大きくなると神経組織を圧迫して症状を出すことがあり、最も怖いのが破裂で、これがくも膜下出血だ。こうなると「大半の患者さんが(約50%)破裂と同時に死亡するか、昏睡状態におちいります」。
東京女子医科大学東医療センター脳神経外科のサイトには、「脳動脈瘤は決して珍しい病気ではありません。小さいものまで含めると40歳以上の成人の100人に5人くらいあると考えられています」とある。5ミリ以下であれば出血のリスクは極めて低いとする半面、10ミリ以上となったら「外科的治療を選んだほうがよいと考えられます」と書かれている。
DJ KOOさんの場合、上山氏の見立てでは「かなり大きい、8ミリはある」とのことだった。しかも形がいびつで、破裂の危険性が高いと考えていた。
頻繁な頭痛の原因、視神経圧迫で失明も
上山氏はDJ KOOさんに、質問をふたつした。ひとつは「身内に脳動脈瘤、くも膜下出血の人はいるか」、もうひとつは「頭痛持ちか」。答えは、前者はノーだったが後者はイエス。「3、4年は続いている。時間に関係なく起きる。放っておくとずっと続く」と明かした。頭痛で医療機関での診察を受けたことは、ないという。
上山氏によると、DJ KOOさんの脳動脈瘤が、顔面から頭部に広がる太い神経「三叉神経」に触れて頭痛を引き起こしている可能性があるようだ。また、脳動脈瘤のサイズが大きいため既に視神経にも触れているかもしれず、このまま視神経を圧迫すると失明の恐れまで出てくると指摘した。
放置すれば命の危険にさらされるDJ KOOさん。ここで上山氏は、「(脳動脈瘤が)破れていなければ治せる」と、治療を強く勧めた。「自分の身内だったら引きずってでも病院に連れて行く」とまで口にしたことからも、DJ KOOさんがどれほど危うい状態にあったかが分かる。
先述の東京女子医大・脳神経外科のサイトには、脳動脈瘤の環境要因リスクとして、喫煙、高血圧、大量飲酒を挙げている。こうした生活習慣に心当たりがあったら、改めた方がよいだろう。