母親が2分間目を離したすきに顔は青紫色に
母親は男児と一緒に買い物から帰宅し、まず男児をベッドに寝かせた後、車内の荷物を取りに戻った。男児は起きていて、母親の姿が見えなくなって泣き始める声が聞こえた。約2分後に母親が戻ると、ベッドガードが水平にずれ、マットレスとの間に10センチ弱のすき間ができ、すき間にうつぶせ状態の男児がはまり込んでいた(写真参照)。
あわてて母親が抱き上げると、男児はグッタリと目を閉じ、顔は青紫色になっていた。母親は男児を激しく揺さぶった。男児は呼吸を始めたが、反応が鈍かった。救急車で病院に到着した時には意識ははっきりしていた。母親の発見が早かったのが幸いした。
同学会では、事故が起きたのと同じタイプのベッドガードを調査した。それによると、米国では2000~2010年の11年間で、ベッドガードによる幼児の事故が132件報告され、うち13件が死亡事故だ。そのうち3件は男児宅と同じく大人用ベッドにベッドガードを付け、幼児を寝かせていた。やはり何らかの原因でベッドガードが水平方向にずれ、すき間ができて幼児が落ち込んだ。
このため、米国の製品安全員会では、ベッドガードの使用を生後18か月(1歳半)から60か月(5歳)までと定めている。日本の業界団体の安全基準も米国にならっている。実際、男児がはさみこまれたベッドガードにも「生後18か月未満のお子様には絶対使用しないでください」という警告が貼り付けられていた。このことから同学会は「傷害速報」の中でこう警告している。
「保護者は製品の注意喚起に気づいていなかった。窒息事故を防ぐには、業界がもっと効果的な注意喚起の方法を検討したり、幼児も使用できると誤解を生むような宣伝方法を改めたり、18か月未満の子でも使える製品の開発が課題になる」
ともあれ、幼児にはベッドガードは命取りになることを知っておくべきだろう。