人気アニメ「けものフレンズ」(けもフレ)で監督をつとめた「たつき」さんが、突如同アニメからの降板をツイッターで伝えた。たつきさんは同アニメの魅力を高めた最大の功労者の1人とされており、ツイッターで動揺が走った。
たつきさんは「カドカワさん方面のお達しみたい」と、背景に何らかの動きがあったことを示唆している。
「僕もとても残念です」
たつきさんは2017年9月25日夜、ツイッターで唐突に報告した。
「突然ですが、けものフレンズのアニメから外れる事になりました。ざっくりカドカワさん方面よりのお達しみたいです。すみません、僕もとても残念です」
「けもフレ」は、複数社が出資する「けものフレンズプロジェクト」による作品で、KADOKAWA(東京都千代田区)も出資会社に含まれる。1~3月に放映されたアニメは旋風を起こした。主要キャラ「サーバル」の「すっごーい!」といったセリフを筆頭に、「フレンズ語」がツイッターを中心に話題となった。明るいストーリー性だけで終わらず、謎を残して終幕したのもファンの間で想像をかき立てた。
「けもフレ」自体はメディアミックス作品で、アニメ以前から存在していた。世に出たのは15年3月、スマートフォンアプリ版からだった。漫画版も「月刊少年エース」15年7月号~17年3月号の期間に連載された。だが、人気・知名度ともに大きな注目を集めていたわけではなく、アプリ版も16年12月に運営終了していた。
そんな「けもフレ」を一大コンテンツに押し上げた功労者が、アニメ化にあたって監督をつとめたたつきさんだという見方が、ファンの間では強い。たつきさんはアニメ制作会社ヤオヨロズ(東京都中野区)に所属しており、同社がアニメ「けもフレ」の制作も担っていた。
「それっぽい話は聞いてた」
時期は未定ながら、「けもフレ」は第2期アニメの放送も発表されている。どんな作品になるか待ち望んでいたファンが多い中で、たつきさんからなされた「外れる」との報告。「とても残念」としたことから、本人の意思による降板とは考えづらい。メッセージは上記のみで、具体的な経緯などは語られていない。26日夕までに約30万回リツイートされており、ツイッターは騒然とした。
ITジャーナリストの三上洋氏は26日、KADOKAWAの持株会社「カドカワ」の川上量生氏とのやり取りをツイッターで公表。川上氏は「たつき監督の件はぼくも心配しています」「これだけの騒ぎになっているわけですから、KADOKAWAにせよ、(系列の)ドワンゴにせよ、この件について中で議論されないということはありませんから、その部分についてはご安心ください」としている。ただ、「ぼくもそもそもの事情をまったく把握していない」とも述べている。
一方、「DMM.futureworks」の元社長である黒田貴泰氏は25日夜、たつきさんのツイートをリツイートした上で
「それっぽい話は聞いてた」
と投稿。さらに「これぐらい売れるとそれまで『どうせ売れねーだろ』みたいなスタンスだった人たちが掌を返して主導権を取りにくるのはよくあることだけど、大概そいつら井戸掘った人へのリスペクトは皆無なんだよね。リスペクトする余裕もないぐらい必死というか」と利害対立の存在を示唆している。
J-CASTニュースは26日、名前があげられたKADOKAWAに対し、たつきさん降板の事実確認と経緯の説明を求めた。だが同日20時、広報担当は「本日(26日)中にこの件に関するリリースを発表させていただきますのでお待ちください」とだけ話した。