東京都の小池百合子知事が、2017年9月28日の衆院解散にともなう総選挙に自ら立候補する可能性が浮上している。
国政政党「希望の党」の立ち上げとともに、代表をつとめることも発表した小池氏。現職の都知事でありながら、国政復帰の可能性については言葉を濁しているが。
「今まで『国政は若狭さんに任せています』と言っていた」
小池氏は25日の会見で「希望の党」立ち上げを発表。自ら国政政党の先頭に立つ意思を表明した。
小池知事の電撃発表を受け、26日の「ゴゴスマ」(CBCテレビ)に出演した政治評論家の有馬晴海氏は、「私は都知事をやめられて衆院選に出ると思っている」と発言。小池氏が会見で使った「リセット」という言葉に「びっくりした」からだという。
「今まで『国政は若狭さんに任せています』と言っていた。それが『このままでは駄目だから、今日からリセットで私が』という話は、やる気満々だなととらえた」
都議会は9月20日から定例会が開かれているが、10月5日に閉会する。一方、衆院選の公示はその5日後、10月10日(投開票は同月22日)との見方が強い。有馬氏は「都議会は5日までで、その前に(都知事を)やめるわけにはいかない。二段方式なのか。つまり、(9月25日に)代表を表明して、10月5~10日の間にもしかしたら選挙に出ると言うのではないかと思っている」と推測した。
小池氏は25日夜、「NEWS23」(TBS系)に中継をつないで生出演した際、総理大臣をめざすかを問われると、「私は東京都知事をつとめている」とするにとどめた。有馬氏は「ゴゴスマ」で、「これは、都知事を続けるから衆院選には出ないという意味でもあるが、いま都知事としてがんばっているという話。この後の行動が拘束されるわけではない」「できるだけファジーに答えている」とし、総選挙までの辞任の可能性を捨てていないと見た。
小池氏が国政進出を否定しない場面は他にもあった。TOKYO MXの9月20日夕方の報道によると、解散風が吹き始めていたこの日、小池氏は衆院選出馬を問う記者団の質問に対し、「うーん...」と苦笑い。「私はこれから都政でいろいろとやらなければならないことがあると思う。いろんな想定外、想定内があると思う。環境をみながら、都にとって、国にとって何がいいのか、最善の方法を考えていきたい」とし、明言を避けていた。
出馬しないと大ムーブメントにならない
元宮崎県知事の東国原英夫氏は25日、ツイッターで「小池氏が中途半端な立場(顧問や役員等)では新党は大きなムーブメントにはならない。やるなら党首、出来れば党首として衆院選出馬。それくらいの覚悟とやらないと」(原文ママ)と、立候補による党勢へのプラスの影響を考えた。続けて「今回の解散総選挙は計算違いだったのでは無いだろうか。年末か来年の解散を想定していただろう。来年なら都知事を辞め衆院選に確実に出馬したと思う」とも投稿した。
現在、衆院の勢力図は、自民が約6割。公明党を合わせると、3分の2を占める。ここに大ムーブメントを起こし政権奪取するには、超絶的な強風を巻き起こさないとムリだ。25日に発表した「希望の党」の政策では、自民党との違いは「原発ゼロ」くらい。議員定数削減やダイバーシティ社会の実現、ポストアベノミクスなどの項目ではインパクトに欠ける。
元産経新聞社のジャーナリスト・山際澄夫氏は、自民党の対抗勢力という観点から「希望の党」を見た。ツイッターで25日「小池新党の一番の意味は、『自民党の受け皿』になり得るということだ。自民党が政権維持のために汲々とし、政権奪還時の志を失ったように見えても、やっぱり自民党に投票するしかない政治状況では希望がない」として、「小池氏は、不退転の決意を示すために、いっそ総選挙への立候補に踏み切ってはどうか」との考えを発信した。
同じ保守の枠内ということで、安倍政権との違いを明確にするにはどうするか。政界関係者のなかには、いわゆる森友・加計問題で追い込まれた安倍政権に対して「疑惑隠し」だと明言する手もある、という見方も出ている。いずれにしろ、10月10日が公示とみられており、今後、短期間であわただしい動きが予想される。
一方、小池氏が就任1年2か月ほどで都知事を降りるとすれば、16年7月の都知事選における都民の期待を「裏切る」ことになりかねない。有馬氏は前出「ゴゴスマ」で、「その一点があって踏み切れないかもしれないと思っている」とも述べていた。