ファーストリテイリング傘下で低価格衣料品店を展開する「ジーユー(GU)」は2017年9月15日、「ジーユー初のファッション・デジタルストア」と銘打った超大型店「横浜港北ノースポート・モール店」(横浜市都筑区)を開いた。RFID(電子タグ)などの技術を活用したデジタルサービスが特徴だ。急成長を続けてきたジーユーも、2017年8月期は営業減益となる見通し。新型店舗で再加速の手かがりをつかみたい考えだ。
同店の売り場面積は、ジーユー史上最大の約820坪(約2700平方メートル)。ウィメンズ、メンズ、キッズに超大型店限定アイテムを加えた、ジーユーのフルコレクションがそろう。アイテム数は従来の2倍。超大型店限定アイテムは、同店と、同じ日にリニューアルオープンしたジーユー心斎橋店(大阪市中央区)、オンラインストアの3店舗のみで取り扱う。
セルフレジを導入
売り場には最新のデジタル技術を投入した。まずはショッピングカートにモニターが付いた「オシャレナビ・カート」だ。モニターにあるRFIDセンサーに商品をかざすと、(1)商品情報や、店舗とオンラインストアで扱う商品のサイズ・色別の在庫状況、(2)商品を着用したモデルや一般人のコーディネート、(3)購入者の商品レビュー――などが表示される。また売り場に設置された発信機に近づくと、各売り場のおすすめ商品やプロのスタイリストのコーディネート情報がモニター上に表示される。
「オシャレナビ・ミラー」は通常は鏡だが、こちらもRFIDセンサーが付いており、商品をかざすと、その商品を着用したモデルや一般人のコーディネート約1000種類、購入者の商品レビューを見ることができる。
このほか入店時には、店頭のデジタルサイネージでトレンドのスタイリングや着こなし、店舗の人気アイテムランキングなどを表示。会計にはセルフレジを導入。有人レジに比べて精算所要時間を大幅に短縮した。
カギを握るのが商品戦略
誕生から11年を迎えるジーユーの道のりは平坦ではなかった。初めての大ヒットは2009年に発売した「990円ジーンズ」。しかしブームが終わり、「ユニクロの安価版」とみられたことで低迷した。その後、機能性を重視する肌着などベーシックな商品を中心とするユニクロに対し、流行品を次々と展開する「ファストファッション」路線を明確に打ち出し、低迷から脱却。2015年春には裾の広い「ガウチョパンツ」が大ヒットし、2016年8月期は売上高に当たる売上収益が前年同期比32.7%増の1878億円、営業利益は34.8%増の222億円と大幅な増収増益を達成した。店舗数は約350店舗と、国内ユニクロの4割を超えた。
しかし、ここへ来て再び消費者に飽きられかけている。カギを握るのが商品戦略だ。ジーユーは2016年3月、東京に加えロンドンにR&Dセンター(デザインセンター)を開設。最新のグローバルトレンド情報を収集・分析し、商品開発を行っている。
センターで開発した商品を次々と世に送り出し、最先端の店舗で楽しくお買い物――。そんな流れを作り出すことができるか、注目される。