強いストレスが「動物的な脳」を暴走させる
そもそも、なぜ痴漢をしてしまう人がいるのか。
人間を含む動物は、生き残るため、繁殖のために「守る」「食べる」そして「性行為をする」行動を発現させる遺伝子を持っている。それを司るのが「動物的な脳」だ。
人間には「人間的な脳」があり、多くの人は異性を見て魅力を感じても、触る場所ではない、触る対象でもない、相手の同意もないため、「触るのはいけない」と抑制できる。
しかし痴漢する人は、動物的な脳が少し踏み込んだら一気に噴き上がるエンジンを持った車のようになっていて、人間的な脳は太刀打ちできない。
動物的な脳が暴走する原因について、平井氏は幼少期の過酷な体験があるとみている。
例えば、父親が酒に酔い、目の前で母親に暴力をふるうといったことが度々起こると、その都度「ストレス」という強い刺激を受ける。
ストレスは、動物を「死なせる方向の刺激」だ。ストレスがかかりすぎると、動物的な脳は生きる方向に動く。「守る」「食べる」「性行為をする」いずれかの行動に振り切れてしまうのだ。